ナルコレプシー(読み)なるこれぷしー(英語表記)narcolepsy

翻訳|narcolepsy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナルコレプシー」の意味・わかりやすい解説

ナルコレプシー
なるこれぷしー
narcolepsy

睡眠障害のうちの代表的な睡眠過剰(過眠症)で、居眠り病ともよばれる。10歳代の中ごろにもっとも多くみられる原因不明の症候群で、日中におこる過度の眠気、あるいは短時間の睡眠発作カタプレキシーcataplexy(情動性脱力発作)のほか、入眠時幻覚睡眠麻痺(まひ)を主症状とし、夜間の睡眠障害もしばしばみられる。カタプレキシー、入眠時幻覚、睡眠麻痺はいずれもレム睡眠関連症状であり、これを抑制する薬物療法抗うつ薬イミプラミンなど)によって比較的改善しやすいが、睡眠発作や夜間の熟眠困難などの睡眠‐覚醒(かくせい)リズムの異常は長期間持続する。

懸田克躬

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナルコレプシー」の意味・わかりやすい解説

ナルコレプシー
narcolepsy

居眠り病ともいう。昼間,なんの前ぶれもなしに突然生じる短時間の睡眠発作と,情動に誘発されて突然起こる脱力発作を主症状とする。ほかに入眠時幻覚や睡眠麻痺などがみられる。古くはてんかんと類縁の疾患と考えられていたが,1880年フランスの J.B.E.ジェリノーによって,まったく別個の神経疾患として,この病名が提唱された。ナルコは眠気,レプシーは発作の意。 15~20歳に起こる本態性ナルコレプシーと,脳炎脳腫瘍外傷などで中脳を侵されたことから起こる症状性ナルコレプシーに分かれる。診断は臨床所見と脳波検査によって決定する。

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