改訂新版 世界大百科事典 「レースソウ」の意味・わかりやすい解説
レースソウ
lattice-leaf plant
lace-leaf plant
Aponogeton madagascariensis (Mirbel)van Bruggen(=A. fenestralis Hook.f.)
マダガスカル原産で,池や川の水に沈んではえているレースソウ科の多年草。水底に塊茎があり,葉はこれから根生する。葉柄の長さは水深によって異なり,3~30cmある。葉身は披針形で長さ20~50cm,幅3~15cmになる。若い葉では他の植物と同じように葉肉がある。しかし生長すると葉肉の組織は脱落し,縦走する葉脈とその間を直角方向につなぐ細脈だけが残って,レースのような網目をつくる。開花時には花茎が水面まで伸び,先に二叉(にさ)に分かれた穂状花序をつける。花序は若いときには帽状の苞鞘(ほうしよう)で覆われているが,これは早い時期に落ちる。花は無柄で,花序軸の表面に多数つき,基部のものから順に開花する。その間に2本の花序軸が伸び,10~20cmに達する。花被片は淡紫紅色で,背軸側に片寄って2~3枚がつき,卵形で長さ約2mm。反対側の花被片は退化している。世界各地で観賞用に栽培されている。日本のような温帯地域では,温室内の水槽で育てるのが普通である。
キボウホウヒルムシロA.distachyon L.f.(英名Cape pondweed)は南アフリカ共和国の原産で,葉身が水面に浮かび,網目状とはならない。花被片は各花にただ1枚あり,長さ約1.5cmで淡紅色,開花後も落ちずに残って生長し,結実時には長さ約3cmで緑色となる。南アフリカではこの花序を野菜として食べる。
執筆者:山下 貴司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報