レービ(読み)れーび(英語表記)Carlo Levi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レービ」の意味・わかりやすい解説

レービ(Primo Levi)
れーび
Primo Levi
(1919―1987)

イタリア小説家トリノユダヤ人家庭に生まれ、トリノ大学化学を学んだ。1943年、レジスタンス活動中に捕らえられ、アウシュウィッツ強制収容所に送られたが、45年に奇跡的に救出された。帰国後、この体験を『アウシュウィッツは終わらない』(1947)に書き、記録文学として高い評価を得た。『休戦』(1963)、『周期律』(1975)、『今がその時』(1982)などが代表作であるが、いずれの作品にも強制収容所で得られた人間存在への深い洞察がみられる。87年に自ら命を絶ったが、原因は不明である。

[竹山博英]

『竹山博英訳『アウシュヴィッツは終わらない』(1980・朝日新聞社)』


レービ(Carlo Levi)
れーび
Carlo Levi
(1902―1975)

イタリアの作家。トリノで医学を修めたのち、ゴベッティらと反ファシズム活動に入る。1935~36年、南部のルカニアに流刑。その経験から、代表作である『キリストエボリにとどまりぬ』(1945)が生まれた。ファシズムの政策に反対し流刑となった北部知識人は、南部民衆の悲惨さのみならず、その豊潤な農民文化に揺さぶられる。それは戦後文学の一つの出発点となった。77年、フランチェスコ・ロージ監督により映画化されている(邦題は『エボリ』)。ほかに『時計』(1950)などがある。

[望月紀子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レービ」の意味・わかりやすい解説

レービ
Levi, Primo

[生]1919. トリノ
[没]1987.4.12. トリノ
イタリアの小説家。アウシュウィッツ強制収容所での過酷な体験と祖国への困難な帰還の旅を扱った『これが人間であるならば』 Se questo è unuomo (1947) および『休戦』 La tregua (63) は,第2次世界大戦後の最良の記録文学といわれる。また,Damiano Malabailaの名で出版した『博物誌』 Storie naturali (66) ,『悪癖の形』 Vizio di forma (71) ,『今がその時』 Se non ora,quando? (82) がある。

レービ
Levi, Carlo

[生]1902.11.29. トリノ
[没]1975.1.4. ローマ
イタリアの小説家。初め医学を志したが,のち絵画と文学に専念。 1935~36年ファシスト政権によってルカニアに流刑された。この経験を扱った長編小説『キリストはエボリに止まりぬ』 Cristo si è fermato a Eboli (1945) は 20ヵ国語に翻訳され,レジスタンス文学の白眉といわれた。ほかに『自由の恐怖』 Paura della libertà (46) ,『時計』L'orologio (50) など。

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