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戦後文学 せんごぶんがく

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知恵蔵2015の解説

戦後文学

埴谷雄高、椎名麟三武田泰淳、野間宏、梅崎春生大岡昇平など、1909(明治42)年から15(大正4)年にかけて生まれた「戦前派」である、第1次戦後派文学者たちの多くは、戦前に社会主義思想の洗礼を受け、戦争を体験した。そうした負の体験を踏まえて、戦後は、独自の形而上学キリスト教的世界観、仏教的世界観、全体小説(個人の内なる世界、それを包み込む社会の双方を総合的に描く)の理念などをそれぞれに掲げて、戦争体験、戦後世界の現実に、想像力をもって対峙していった。これに対して、15年から24年にかけて生まれた小島信夫安岡章太郎庄野潤三吉行淳之介など、時にその無思想性を揶揄して「第三の新人」と呼ばれた「戦中派」の作家たちは、そうした自己の外から来る思想には一切の信を置かず、感性と言語を武器に、狭いけれども確かな、自己の世界を開拓していった。「第三の新人」たちは、小島信夫を除けばあとはほぼ20年代前半の生まれである。ちょうど一回り(12年)下の、30年代初めから半ばにかけて生まれた世代は、古井由吉後藤明生黒井千次など、自我と個人の状況にのみ真実を探らんとする、いわゆる「内向の世代」と、開高健、石原慎太郎、江藤淳、大江健三郎倉橋由美子など、状況参加、行動というテーマにそれぞれの方法で改めて取り組んだ作家のグループからなる。そのほぼ一回り下が、中上健次村上春樹、村上龍などの全共闘世代ということになる。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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世界大百科事典 第2版の解説

せんごぶんがく【戦後文学】

太平洋戦争後の日本文学を指し,広義では戦後に書かれた文学の総称,狭義では〈戦後派〉の文学運動を通じて実現した文学をさす。1945年の日本の敗戦の結果,連合軍の占領下におかれたとはいえ表現の自由は戦中よりも著しく増大し,まず既成作家の復活が正宗白鳥永井荷風川端康成らの作品発表としてあらわれ,それより下の世代では昭和10年代作家の活動が坂口安吾,太宰治ら〈無頼(ぶらい)派〉の作品および高見順,伊藤整らの内省にみちた再出発としてあらわれた。

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