ろうたし(読み)ロウタシ

デジタル大辞泉 「ろうたし」の意味・読み・例文・類語

ろうた・し〔ラウたし〕

[形ク]
《「ろう」を「ろうたける」の「﨟」と意識したものか》上品で美しい。洗練されている。
「朝のめざめも美しや夕べ睡らんとする時も―・しや」〈犀星・杏姫〉
《「らう(労)いたし」の音変化》いとおしい。かわいらしい。
少し、うちとけ行く気色、いと―・し」〈夕顔

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精選版 日本国語大辞典 「ろうたし」の意味・読み・例文・類語

ろうた・しラウたし

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. ( 「労(ろう)いたし」の変化した語 ) こちらが何かと世話をしていたわってやりたい気持にかられる。また、そういう気持にさせるようなありさまである。可憐でいとおしい。姿やしぐさやたたずまいなどが、弱々しくいじらしい。
    1. [初出の実例]「この妻(め)にしたがふにやありけん、らうたしと思ひながら、え留めず」(出典大和物語(947‐957頃)六四)
  3. 和歌連歌などで、心深く、艷で美しい。
    1. [初出の実例]「古人の句は歌の面影そひぬる故に、しな、ゆう、たけ、らうたく言はぬ心見え侍り」(出典:ささめごと(1463‐64頃)上)
  4. ( 「ろう」を「ろうたける」の「臈」と意識してできた語か ) 洗練された美しさがある。上品ですきとおるように美しい。
    1. [初出の実例]「貴なるかげや、臈(ラフ)たき」(出典:春鳥集(1905)〈蒲原有明束の間なりき)

ろうたしの補助注記

ク活用の「うつくし」が、特に弱々しさという限定をつけず、愛情を感じる対象、美を感じる対象を賛美する心情表現の語であるのに対して、ク活用の「らうたし」は、いつくしみの感情を起こさせる、弱々しく痛々しい、または、いじらしいものの可憐な状態を表わす属性表現の語である。

ろうたしの派生語

ろうた‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙

ろうたしの派生語

ろうた‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

ろうたしの派生語

ろうたげ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

ろうたしの派生語

ろうた‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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