ロッカ石(読み)ろっかせき(英語表記)lokkaite-(Y)

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロッカ石」の意味・わかりやすい解説

ロッカ石
ろっかせき
lokkaite-(Y)

カルシウムイットリウム族希土の含水炭酸塩。1970年フィンランドから新鉱物として記載されたが、化学式が正確でなく、1986年(昭和61)に鉱物学者の長島弘三(こうぞう)(1925―1985)らによって佐賀県東松浦(ひがしまつうら)郡肥前(ひぜん)町(現、唐津(からつ)市肥前町)切木(きりご)などから産出したものについて再検討が行われ、現在の式が確定した。自形は未報告。繊維状あるいは皮膜状。

 原産地では花崗岩(かこうがん)質ペグマタイト中に二次鉱物として産し、唐津市付近のものはアルカリ玄武岩の空隙(くうげき)中に産する。福島県伊達(だて)郡川俣(かわまた)町水晶山では花崗岩質ペグマタイト中に産する。共存鉱物は玄武岩中のものでは、木村石、ネオジムランタン石lanthanite-(Nd)(化学式(Nd,La)2[CO3]3・8H2O)など。同定白色非常にもろい皮膜で、やや細長い輪郭が見えれば、ほかの希土類元素の含水炭酸塩とは区別できる。命名はフィンランド地質調査所の鉱物学者ラウリ・ロッカLauri Lokka(1885―1966)にちなむ。

加藤 昭]


ロッカ石(データノート)
ろっかせきでーたのーと

ロッカ石
英名lokkaite-(Y)
化学式CaY4[CO3]7・9H2O
少量成分Nd,Gd,Dy,SM,Er,Eu,Tb,Ho,Yb,Pr,La,Tm,Ce,Lu
結晶斜方
硬度非常に低く、単独の結晶が得られないため未測定
比重2.92
光沢ガラス
条痕
劈開おそらく二方向。一方向に完全。これに直交する一方向に明白(「劈開」の項目参照

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