ロブスター(読み)ろぶすたー(英語表記)lobster

翻訳|lobster

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロブスター」の意味・わかりやすい解説

ロブスター
lobster

軟甲綱十脚目アカザエビ科のうち,Homarus属 2種の総称。和名ウミザリガニともいうが,流通業者や料理関係者はオマールエビと呼ぶ。ヨーロッパ沿岸に広く分布するヨーロピアンロブスター H. gammarus,北アメリカ東岸に産するアメリカンロブスター H. americanus はいずれも重要な食用種。特にアメリカ合衆国産種の産額が多い。体長 50cm以上,体重 15kgに達するものもあるが,多くは体長 25~30cm。一見ザリガニを思わせる体形で,頭胸甲,腹部,鋏脚,歩脚ともなめらかである。鋏脚は巨大で,左右で大きさ,形が異なる。右の鋏には臼歯のような歯が並び,左の鋏には小棘がある。鋏脚に続く 2対の歩脚の先端も小さな鋏になっている。いずれも浅海産であるが,水深数百mの深海から大型個体が得られることもある。南アフリカ共和国産のケープロブスター Homarinus capensis は体長 10cmほどで,かつて同属とされたが,今日では別属とされている。個体数も少なく,水産的な価値はない。なお,英名の spiny lobsterとげのあるロブスターの意)はイセエビ類の総称である。(→甲殻類十脚類節足動物軟甲類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロブスター」の意味・わかりやすい解説

ロブスター
ろぶすたー
lobster

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目アカザエビ科に属する大形のエビ。食用エビで、アメリカ北東岸に生息するアメリカンロブスターHomarus americanusとヨーロッパ各国沿岸に分布するヨーロピアンロブスターH. vulgarisが重要種である。南アフリカ産のケープロブスターH. capensisは分類学的に知られているのみ。前2種は高級品で、フランス料理ではオマールといい、とくにアメリカンロブスターの産額が多い。ロブスターは和名でウミザリガニとよばれたことがあるように、巨大なはさみをもつ。浅海にすむが、イセエビ類とはまったく別の科に属し、習性もイセエビ類と異なって、岩の下に単独で巣穴を掘ってすんでいる。

[武田正倫]

料理

姿がよく味もよいのでパーティー料理に最適。生(なま)のものはかならず生きているものを購入する。ゆでて縦に二等分し、溶かしバターとレモン汁で食べるのが一般的。ゆでた肉はオードブルサンドイッチ、サラダなどに用いる。殻ごと焼いたり、ゆでた身をクリームで和(あ)えて殻に詰め、オーブンで焼くのもよい。フランスでよく知られている「アメリカ風オマールの煮込み」は、オマールのみそを使ったソースで殻ごと炒(いた)めた身を煮たもの。

河野友美


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