日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロブソン」の意味・わかりやすい解説
ロブソン
ろぶそん
Paul Robeson
(1898―1976)
アメリカの黒人歌手、俳優で、また人種差別やファシズムと闘った平和運動家。苦学して牧師になった元逃亡奴隷を父に、ニュー・ジャージー州プリンストンに生まれる。早くから学業、スポーツの両面でその才能を認められ、ラトガース大学在学中には2年連続してフットボールの全米最優秀選手に選ばれた。いったん弁護士の道に進んだが、芸術の世界に入り、『ショー・ボート』『皇帝ジョーンズ』『オセロ』などでの名演技や『オールマン・リバー』の歌で世界的名声を博した。アメリカ国務省は1950年、彼の政治的信条や活動を理由に、その海外渡航を禁止する措置に出たが、ロブソンは8年間にわたる闘いによってこの措置を取り消させ、ふたたびヨーロッパ諸国の観衆をその堂々とした姿と声で魅了した。1952年スターリン平和賞受賞。
[大塚秀之]
『ポール・ロブソン著、岩崎昶訳『ここに私は立つ――アメリカ黒人歌手の自伝』(1959・光文社)』