ロムニー

百科事典マイペディア 「ロムニー」の意味・わかりやすい解説

ロムニー

アメリカの政治家,実業家。共和党デトロイトに生まれる。2003年から2007年までマサチューセッツ州知事。デトロイトの敬虔(けいけん)なモルモン教徒の一家に生まれる。父は実業家,ミシガン州知事。ハーバート大学で学位を取得,ビジネススクール,ロースクールとも優秀な成績で卒業後,ビジネス・コンサルタントとして活躍する。1984年,投資会社ベインキャピタルを設立し同社を世界有数のファンドに育成した。1994年,マサチューセッツ州で共和党から上院議員選挙に出馬民主党のエドワード・ケネディに接戦の末敗れたが,注目を集めた。2002年のソルトレークシティオリンピックの組織委員会会長として大会を成功させ,知名度と経営手腕を評価されて共和党マサチューセッツ知事候補となり当選を果たした。2008年の大統領選予備選では,マケイン候補との一騎打ちとなったが,複数の州の予備選が集中するスーパーチューズディで敗退し,撤退を余儀なくされた。2012年の大統領予備選では,序盤は有力候補の一人で元上院議員のリック・サントラムと接戦となったが,〈オバマ大統領に勝てる候補〉という共和党支持層での評価は根強く,徐々に差を広げ,3月のスーパーチューズディで勝利,サントラム候補は撤退を表明,共和党大統領候補に指名された。しかし,大統領選挙戦では,中道保守の政策を掲げてオバマと争い,選挙戦中盤には一時オバマに肉薄する勢いを示したが,11月の選挙で敗北。共和党の政権奪回は成らなかった。白人有権者層や富裕層の取り込みには一定程度成功したが,貧困層や非白人有権者の支持を得られなかったのが敗因とされる。
→関連項目アメリカ合衆国

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ロムニー」の意味・わかりやすい解説

ロムニー
George Romney
生没年:1734-1802

イギリス画家。J.レーノルズの次の世代に属し,T.ロレンスが現れるまでイギリス美術界において最も高名であった。一般的には婦人や子どもの甘美な雰囲気の肖像画やハミルトン夫人Emma Hamiltonをさまざまな装いで描いた肖像画の作者として知られる。ランカシャーに生まれ,1762年以降ロンドンに住み,73-75年イタリアに滞在した。当時ロンドンは新古典主義最盛期であり,彼もイタリアで見た古典美術に多大の影響をうけ,スケールの大きな歴史画への夢を生涯捨てきれなかった。また肖像画においても古代彫像を思わせる彫塑的な肉づけの施された,典雅な衣装をまとった人物を描いた。その点で彫刻家J.フラックスマンらと並んでイギリス新古典主義の代表的芸術家として位置づけられよう。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロムニー」の意味・わかりやすい解説

ロムニー
Romney, George

[生]1734.12.15. ドールトンインファネース
[没]1802.11.15. ケンドル
イギリスの肖像画家。家具職人の子で父の工房で学んだのち,ケンドルの風俗画家 C.スティールに師事。 1762年ロンドンに出て,64年にパリ,73年にはイタリアに遊学し,ラファエロ,ティツィアーノコレッジオを研究。 75年に帰国し,ロンドンに定住。ハミルトン夫人の知遇を得,夫人をはじめ多くの美人画を描いた。主要作品『自画像』 (1780,ロンドン,肖像絵画館) ,『アリアドネ』 (85,グリニッジ国立海洋博物館) ,『ハミルトン夫人』 (86,ロンドン,ナショナル・ギャラリー) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロムニー」の意味・わかりやすい解説

ロムニー
ろむにー
George Romney
(1734―1802)

イギリスの画家。ランカシャーのドルトン・イン・ファーニスに生まれる。1762年ロンドンに出るや、上流社会の肖像画家としてめきめき腕をあげ、やがてレノルズやゲーンズバラと肩を並べるほどになった。エンマ・ハート(後のハミルトン夫人)をさまざまな扮装(ふんそう)を凝らして描いた肖像画がとくに有名であるが、当時の新古典主義の隆盛や73~75年にイタリアで見た古代美術の影響もあって、彼の野心はむしろ大規模な歴史画にあった。こうして制作された数少ない作品に、86年ジョン・ボイデルのシェークスピア・ギャラリーのために描かれた『テンペスト』(現存せず)や『悲劇と喜劇に養育される幼子シェークスピア』などがある。ケンダルに没。

[谷田博行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android