アメリカの小説家・劇作家、T・ワイルダーの三幕戯曲。1938年刊。舞台装置を使わない裸の舞台で、芝居の世界を観客に解説し、ときとして劇中人物も演じる全能の神的存在である進行係の指揮のもと、20世紀初頭のアメリカ東部の小さな町に住む二つの家族の日常と、両家の子供同士の恋愛と結婚、そして死が詩情豊かに描かれる。時間の流れを入れ換えたり、死者が生者の世界に帰還するといった非写実的技法を駆使して、人間の平凡な日常を永遠不変の宇宙的秩序のなかでとらえ、人生の一瞬一瞬のかけがえのなさを、静かに、しかし力強く訴えている。アメリカ演劇を代表する名作の一つであり、今日まで世界中で上演されている。
[一ノ瀬和夫 2016年3月18日]
『鳴海四郎訳『わが町』(『現代世界演劇13』所収・1971・白水社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…アメリカの劇作家,小説家。戯曲では,田舎町の住民の日常生活,結婚,死を描いた《わが町》(1938初演)が最も有名。これは舞台監督と称する人物が観客に直接語りかけて事件の時や場所を自由に指定し,人物のしぐさによって小道具の存在を示すなど,リアリズムの手法を脱したところに特徴がある。…
※「わが町」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新