ワジャク人(読み)ワジャクじん(英語表記)Wadjak man

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワジャク人」の意味・わかりやすい解説

ワジャク人
ワジャクじん
Wadjak man

ジャワ島中部ワジャク盆地辺縁の堆積層で,1889年に発見された2個の人頭骨翌年 E.デュボアが同地を訪れて検討し,1921年その所見を発表した。頭骨はともに頑強で大きく,眼窩上隆起が発達し,顔は扁平で,鼻根部が陥没している。第1号頭骨は女性で,長さ 200mm,幅 145mm,耳高 122mm,容積 1550cm3。第2号頭骨は男性で,これより大きく容積 1650cm3とみられるが,保存状態が不良のため詳細は不確実。同時に発見された動物骨が現在とほとんど変らないため,更新世末期あるいは完新世初期の新人類に属すると考えられる。またオーストラリアで発見されたケイラー頭骨とともに,オーストラリア先住民の直接の祖先とする説もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワジャク人」の意味・わかりやすい解説

ワジャク人
わじゃくじん
Wadjak man

インドネシア出土の新人に属する化石人類。ジャワ島東部トゥルンガグン近くの、ワジャクの石灰岩断崖(だんがい)より1889、90年に男女それぞれ1個の頭骨などが発見された。第三紀更新世(洪積世)後期末または完新世(沖積世)初期とみられる。頭骨は大きく、長頭で眼窩(がんか)上隆起は発達し、鼻骨の突出は弱く、歯槽性突顎(しそうせいとつがく)は発達している。下顎骨は頑丈で、頤(おとがい)隆起が存する。新人としてはかなり原始的特徴をもつ。ジャワのソロ人と現在のオーストラロイドの中間的位置を占めるものと考えられている。

[香原志勢]

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