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アイヌ音楽 アイヌおんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アイヌ音楽
アイヌおんがく

アイヌ民族の音楽において最も重要で数が多いのは,祭りに関係して歌われるウポポとリムセである。ウポポは大勢が輪になってすわり,行器 (ほかい) のふたを軽くたたき拍子をとりながら歌うもので,少しずつずれて歌い継いでゆく独特の演唱法に特徴がある。リムセは踊り歌で,どしんと音を立てるという語源が示すように,悪魔払いの踏舞行進ニウェンホリッパに由来している。アイヌの踊りは2つのタイプに大別される。1つは盆踊りのように大勢の踊り手が円陣を組み,一定の身振りで回りながら踊るもので,踊りの動作自体には特定の描写的,説明的意味をもたない。他の1つは踊りに特定のしぐさのついた模擬的,または演劇的踊りで,鳥の飛びかう様子を踊るチカップリムセや浜に上がったクジラをみんなで分ち合うといった所作をもつフンペネレなどが代表的なものである。馬を追回すしぐさのウンマネレ,種まきを模したスチョチョイ踊りなども座興の踊りとしてよく踊られる (→アイヌ舞踊 ) 。このほか,マイタケとりの歌,ドングリ拾いの歌などのような植物採集の際の宗教的労働歌というべきものがあり,イユタウポポ (杵つき歌) のようにその労働のリズムをもったものも多い。以上はおもに集団で歌われるものであるが,1人で歌う悲しみや喜びを表現する抒情的な歌にはヤイサマ,ヤイカテカラ (恋慕歌) ,イヨハイオチシ (哀傷歌) がある。これらの抒情歌の多くは,「ヤイサマネーナ」という折返しの間に文句が入ってくる形をとっているが,この折返しをもつものはアイヌの歌には多く,アイヌの語り物として有名なユーカラも,動物神を主人公とするカムイユーカラはその動物の鳴き声や動いて出る音を折返しとして語られている。アイヌの歌のメロディーは,各音に細かい音程の変化はあるが,音階的には半音のない5音音階である。しかし,5音全部をそろえるメロディーよりは3音,4音でできているものが多い。アイヌの楽器はムックリとトンコリが代表的なものである。前者は竹でつくった口琴であるが,鉄製のカネムックリもサハリンにみられる。後者は全長 120cmほどの胴長な散弦系の楽器で,肩に立てかけたり,横抱きにして両手の指で弾奏する。ほかに,巫女の用いる太鼓カチョや千島アイヌの用いるパラライキ (ロシアのバラライカの模倣) がある。文献には木の皮でつくるコサ笛やクルミ笛が記録されている。

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