本来は、国家レベルにおける経済的自給自足状態を意味する。すなわち、食糧、原料などの必要資源を外国からの輸入に依存せずに国内で確保し、また、生産物も外国へ輸出せず自国内で消費してしまうような経済をいう。しかしアウタルキーは、その後、1930年代の世界恐慌において先進資本主義諸国が恐慌から自国経済を保護するために、それぞれ植民地、半植民地を含めて自給自足的なブロック経済を形成したことをさすようにもなり、現在では経済自立政策を意味するようになってきている。世界経済が非常に緊密化された現在では、外国から全面的に独立した自給自足経済を営むことは不可能であるが、外国貿易に過度に依存することは、万一外国市場が切断された場合リスクが大きすぎるとして、なるべく対外依存を少なくしようとする相対的アウタルキーへの指向が、国家安全保障の観点からつねに議論されている。
[秋山憲治]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…外国との間で,それぞれ割安に生産できるものの生産を増やして輸出し,他方割高のものの生産を減らして不足分を輸入すれば,自国も外国もともにアウタルキーAutarkie(自給自足経済)の場合より消費量が増える。日本はたいへん不足している原燃料を輸入し,国内の熟練労働,機械設備,高水準の技術で加工して輸出するという形態の国際分業を活用して経済発展してきた。…
※「アウタルキー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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