アグリ・ミニマム(読み)アグリミニマム

百科事典マイペディア 「アグリ・ミニマム」の意味・わかりやすい解説

アグリ・ミニマム

英語ではminimum land necessary for agriculture。人口に対して最低限必要とされる耕地山林面積。アグリ・ミニマムはアグリカルチュラル・ミニマムを略した和製英語で,本来の意味をより拡大して〈ある国が持つべき最低限の農業生産〉という意味合いで使われることが多い。 農林水産省の食糧需給表によれば,日本の食糧自給率はカロリー換算で1996年に42%,穀物自給率は29%と低落を続けている。この数字は他の先進国あるいは人口増加を続けている途上国と比較しても際立って低い。こうした状況への危機感から,食糧自給率の向上,食糧安全保障といった考え方とともに注目されるようになった。1997年12月の食料・農業・農村基本問題調査会第1次中間報告では国内に必要な農地面積の総量を明確化するべきとの考え方が盛り込まれ,アグリ・ミニマムの具体化として注目されたが,1998年9月の最終答申では農林水産省側の〈必要な農地面積の数字は算出しようがない〉との理由から削除された。
→関連項目食糧自給率

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アグリ・ミニマム」の意味・わかりやすい解説

アグリ・ミニマム
アグリミニマム
agri-minimum

アグリカルチュラル・ミニマムの略。自給率の下降歯止めをかけるために設定する,国が維持すべき農業生産の下限。日本の農産物自給率は米以外は年々減少しており,1992年度のカロリー自給率は 46%と,10年前に比べ6ポイント下落した。また,92年度の食用と飼料用を合せた穀物自給率は 29%と,世界の先進国では例を見ない低水準となっている。このため,アグリ・ミニマムが専門家によって提唱されたり,自民党など政党農業政策の一部に盛込まれたりしているが,政府政策にはこれまでのところ反映されていない。

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