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アシドーシス acidosis

翻訳|acidosis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アシドーシス
acidosis

酸性血症ともいう。正常人の動脈血は水素イオン濃度 (pH) が 7.35~7.45の間に保たれているが,種々の原因で pHが 7.35以下になっている状態をいう。代謝性アシドーシスと,呼吸性アシドーシスに大別される。代謝性アシドーシスは,肝臓の処理能力の低下のため,酸性の代謝産物が多量に存在する場合や,あるいは反対に生産過剰の結果として起り,pHが低下するだけでなく,血中の二酸化炭素も減少している。呼吸性アシドーシスは,肺や腎臓からの二酸化炭素などの排泄を十分にできないような場合に起り,pHは低いが,血中の二酸化炭素は正常よりも多くなっている。健康保持には弱アルカリ,つまりアシドーシスと反対のアルカローシスの状態が望ましいとされている。

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百科事典マイペディアの解説

アシドーシス

血液の水素イオン濃度(酸塩基平衡)が正常域7.4±0.05より低く酸性に傾いた状態。肺結核,肺気腫,急性気道閉塞などによって肺機能が低下して,血液中の炭酸ガスが増加するものを呼吸性アシドーシス,胆汁・膵(すい)液などの瘻(ろう)孔からの流失,下痢・嘔吐(おうと),腎機能不全などの際に起こるものを代謝性アシドーシスといい,糖尿病性アシドーシスはケトーシスという。
→関連項目ケトン体糖尿病

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栄養・生化学辞典の解説

アシドーシス

 体液中で酸に対してアルカリが相対的に減少する現象.体液のpHが低下することが多いが,必ずしもそれを意味しない.身体の機能に障害が生じることが多く,特に中枢神経系への影響が大きい.呼吸性アシドーシスと代謝性アシドーシスに分類される.

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世界大百科事典 第2版の解説

アシドーシス【acidosis】

酸血症ともいい,体液中に異常に酸が蓄積するか,塩基が失われた状態をいう。体液のpHは,主として炭酸(酸性)と重炭酸(アルカリ性)の平衡による炭酸緩衝系の作用で,正常では7.4に保持されている。ところが,呼吸器の病気や呼吸中枢の機能低下により,肺の換気機能が悪くなると,血液の炭酸ガス分圧が上昇し,pHは低下する(これを呼吸性アシドーシスrespiratory acidosisという)。一方,尿毒症糖尿病性ケトーシス,下痢,ショックなどでは,酸の産生の過剰,塩基の喪失,または酸の排出の低下が起こり,血液の重炭酸イオンが低下し,pHは低下する(これを代謝性アシドーシスmetabolic acidosisという)。

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大辞林 第三版の解説

アシドーシス【acidosis】

血液の酸と塩基の平衡が乱れて正常よりも酸性方向に傾いた状態。肺のガス交換機能の低下や糖尿病・腎不全・下痢・ショックなどの際にみられる。酸性血症。酸毒症。酸血症。アチドージス。 → アルカローシス

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アシドーシス
あしどーしす
acidosis

血液中の酸と塩基の関係が酸優位の状態、すなわち血液pHの低下をいう。酸性血症ともいう。通常、血液はその化学成分の緩衝作用と、呼吸や腎臓(じんぞう)の働きなどによってpHが非常に安定した状態に保たれている。pH7.40が正常値で、おおよそ7.36以下になるとアシドーシスとよび、7.0以下では、長く生きることはむずかしいとされる。アシドーシスは呼吸性と代謝性に2大別される。前者は二酸化炭素の蓄積によるものであり、後者は二酸化炭素以外の酸(固定酸)の蓄積または塩基の欠乏によるものである。呼吸性アシドーシスは、細胞の代謝活動の結果、絶えず産生される二酸化炭素が十分に肺から排出されないときにおこる。呼吸運動を支配している中枢の活動が低下する中枢性肺胞低換気症状群、肺におけるガス交換が障害される慢性閉塞(へいそく)性肺疾患などがこれである。二酸化炭素の蓄積が強くなると、中枢神経の麻痺(まひ)状態がおき、意識が鈍くなり、いわゆる老人ぼけの原因となることもある。代謝性アシドーシスは、脂肪の中間代謝産物であるケトン体が蓄積する糠尿病、固定酸の排泄(はいせつ)をつかさどる腎臓の機能障害などによっておこるものである。なお、アシドーシスの逆の関係(血液中の酸と塩基の関係が塩基優位の状態)をアルカローシスという。[本田良行]

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世界大百科事典内のアシドーシスの言及

【血液】より

…このように血液は,循環中に各組織で生じた余分の酸やアルカリを中和することによって,組織の環境を最適にする役を担っている。血液の緩衝能力以上の変動が生じて,血液が酸性(酸性症,アシドーシス),あるいはアルカリ性(アルカリ性症,アルカローシス)になると,組織の至適環境が乱れ,細胞が十分な機能を発揮できなくなる。酸塩基平衡
[血液型]
 ヒトの赤血球の表面には凝集原とよばれる物質があり,血漿には特定の凝集原とだけ反応して赤血球に凝集をおこす凝集素が存在する。…

【酸塩基平衡】より

…呼吸機能や腎機能の異常または体内で過剰に酸が産生された場合は[HCO3],Pの値が正常値より変位してくる。[HCO3]/α・Pの値が小さくなるとpHが低下(酸性化)するが,そのような状態をアシドーシスといい,[HCO3]/α・Pの値が大となりpHが高くなる状態をアルカローシスという。呼吸系に原因があって異常となる場合は呼吸性アシドーシスまたは呼吸性アルカローシスといい,腎機能の障害や過剰な酸の産生(たとえば糖尿病などの場合)で[HCO3]が低くなっている場合を代謝性アシドーシスという。…

【酸性食品】より

…体内の血液や組織液は,炭酸緩衝系の作用によって,pHはつねに一定に保たれている。弱アルカリ性であるはずの血液が酸性になる場合をアシドーシス(酸血症)というが,このようなアシドーシスは,糖尿病や飢餓時にケトン体の生成される場合(代謝性アシドーシス)にみられ,また,呼吸促進の起こる場合(呼吸性アシドーシス)にもみられるが,食べ物によってpHが変動するようなことは観察されていない。一般に,酸性食品を多く摂取する傾向にあるので,注意することが望ましいなどといわれるが,これはまちがった考え方である。…

【小児糖尿病】より

…脂肪の利用が高まると,中間代謝産物のアセチルCoAの産生が高まり,それ以降の代謝(クエン酸回路)の処理能力を上回るため体内に蓄積し,ケトン体に変換される。ケトン体の蓄積は血液を酸性化し(アシドーシス),一部は尿中に排出される。以上のように多飲・多尿・多食・体重減少がおもな症状であるが,この状態が無治療で放置されると,多尿に飲水がおいつかず脱水状態となり,アシドーシスも高度となって昏睡状態におちいり,さらに放置すると死に至る。…

※「アシドーシス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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