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アスコルビン酸 アスコルビンサン

百科事典マイペディアの解説

アスコルビン酸【アスコルビンさん】

ビタミンCのこと。→ビタミン
→関連項目セント・ジェルジ

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栄養・生化学辞典の解説

アスコルビン酸


 C6H8O6 (mw176.12).抗壊血病因子として発見された,ビタミンC活性の低い異性体D-アラボアスコルビン酸(D-araboascorbic acid, isoascorbic acid, erythorbic acid)と区別する.還元剤としての活性は同じである.食品の抗酸化剤,肉の色調保持など,食品添加物としても有用で,米国ではGRAS物質扱い.欠乏症は食欲不振,成長遅滞,免疫力低下,骨格筋の萎縮,溶血などの症状が出る.欠乏するとプロリンの酸化が進まないことから,オキシゲナーゼ活性に必須とされている.ヒト血漿の正常値は0.6〜1.6mg/dl.第六次改定日本人の栄養所要量では18歳以上で男女とも1日100mgとされている.

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大辞林 第三版の解説

アスコルビンさん【アスコルビン酸】

ビタミン C の別名。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アスコルビン酸
あすこるびんさん
ascorbic acid

ビタミンCのこと。抗壊血病効果をもつ酸(anti-scorbutic acid)にその名の由来がある。AsAと略記される。分子式C6H8O6、分子量176.13、融点190~192℃、還元力はC-2位および3位のエンジオール基-C(OH)=C(OH)-に由来する。白色またはわずかに黄色味を帯びた結晶で酸味があり、光によって徐々に着色する。乾燥状態では安定であるが、水溶液ではかなり不安定である。
 アスコルビン酸は抗壊血病性ビタミンとよばれていた。壊血病は13世紀の十字軍時代にすでに記載され、1535年にはカルチエがカナダのセント・ローレンス川の探検中に、彼の部下たちの「何人かは力がなくなり、立つことができなくなり、他のものは体中の皮膚が内出血し紫の斑点(はんてん)でまだらになった。彼らの口は悪臭を放ち、歯肉は腐り、歯はほとんど抜け落ちた」と記載されている。壊血病の予防法は、1753年にスコットランドの医師リンドJames Lind(1716―1794)によって「検証はできていないが、青菜か新鮮な野菜、熟した果物が壊血病の最上の治療薬となるので、これらが同病に対するもっとも有効な予防薬であることは明らかである」と提示された。有効物質の抽出は、1927年セント・ジェルジーがウシの副腎(ふくじん)皮質から取り出した結晶(ヘキスロン酸)で、これがビタミンCそのものであり、抗壊血病性であるところからアスコルビン酸と命名された。このビタミンはヒトその他の霊長類やモルモットの食餌(しょくじ)には欠かせないが、ほかの動物はこれを体内で合成できる。現在では純度の高い結晶が工業的に大量生産され、天然品からの抽出は行われていない。
 結合組織の主要なタンパク質であるコラーゲンタンパクの三重螺旋(らせん)構造は4-ヒドロキシプロリンによって構成されている。このアミノ酸はプロリンからプロリン水酸化酵素の触媒でつくられる。この酵素が活性化するときにアスコルビン酸が特異的な抗酸化剤として働く。生体内でアスコルビン酸のない条件下で合成されたコラーゲンのプロリンはヒドロキシル化されにくく、このようなコラーゲン繊維が壊血病でみられる皮膚の変化や血管のもろさの一因となる。アスコルビン酸は、鉄イオンの運搬体であるフェリチンから鉄イオンを遊離し、組織が鉄イオンを利用するのを助ける。そして、その欠乏によって組織内の遊離鉄イオンが減少するので、骨髄細胞のヘモグロビン合成が低下して貧血をおこすと考えられる。アスコルビン酸欠乏症では貧血のほか、骨の発育障害や創傷治癒の遅れなどもみられるが、これらはコラーゲンとコンドロイチン硫酸の合成障害によるものである。アスコルビン酸は腸から容易に吸収され、代謝活動の盛んな臓器に多く含まれる。血液中の濃度が1~1.5ミリグラム%(mg/dl)以上になると尿中に排泄(はいせつ)される。1日10ミリグラムが最低必要量で、イギリスでは20ミリグラム、アメリカでは70ミリグラムを摂取基準としている。なお、動物の場合は大量に与えても毒性は低い。
 キュウリやカボチャなどの野菜にはアスコルビン酸を酸化するアスコルビン酸オキシダーゼがあるので、食品を短時間煮沸するとこの酵素が不活性となり、食品中のアスコルビン酸の保存がよくなる。[有馬暉勝・有馬太郎・竹内多美代]

ビタミンC剤

アスコルビン酸は日本薬局方に収載されている局方名。ビタミンC剤としては、内服用のアスコルビン酸散と、同酸注射液がある。壊血病や紫斑病など出血性疾患に対する止血をはじめ、口内炎や歯肉炎、その他の熱性・炎症性疾患、皮膚の色素沈着の防止、骨および歯牙(しが)疾患などに用いられるほか、体内消費の大きいとき有効な薬物である。喫煙者の血清ビタミンC濃度が、1日当り20本未満の紙巻たばこ喫煙者で25%、それ以上の喫煙者で40%も低下していることが報告され、ベンゾピレン(ベンツピレン)などの発癌(はつがん)物質を含むたばこの煙の有毒成分解毒にビタミンCが消耗される結果として注目されている。この補給は野菜や果物からの摂取量ではまにあわず、ビタミンC剤が必要となる。また、感冒や癌の治療に対するビタミンC剤の大量投与も注目されている。[幸保文治]
『川崎近太郎著『ビタミン』(1955、1961・岩波書店) ▽日本ビタミン学会編『ビタミンハンドブック2 水溶性ビタミン』(1989・化学同人)』

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世界大百科事典内のアスコルビン酸の言及

【ウロン酸】より

…活性化型グルクロン酸はまた,グルクロン酸含有多糖の生合成中間体でもあり,活性化型グルコース(UDP‐グルコース)が酵素的に酸化されて生ずる。多くの哺乳類はグルクロン酸からアスコルビン酸(ビタミンC)を合成することができるが,ヒト,サル,モルモットにはこの酵素活性がなく,これらの動物はアスコルビン酸を食物中からビタミンとして摂取しなければならない。ウロン酸にナフトレゾルシンと塩酸を加えて加熱すると青紫色に呈色し,この色はエーテルやベンゼンなどの有機層に抽出される。…

【ビタミン】より

…しかしその量は生体が必要とする量に及ばない。またビタミンC(アスコルビン酸)は多くの動物では体内でグルコースから生成されるが,ヒト,サル,モルモット,ゾウなどは生合成することができない。前者は必要量までを食物として摂取しなければならないし,後者も生成できない動物では外部から摂取しなければならない。…

※「アスコルビン酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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