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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
ビタミンC(アスコルビン酸)の欠乏による疾患で、ビタミンCの摂取不足、腸管からの吸収障害、細菌感染などによる体内需要量の増大などが誘因となる。症状は出血および骨変化を特徴とする。すなわち、毛嚢(もうのう)周囲に出血がみられる毛嚢角質部の増殖や腫脹(しゅちょう)、歯間乳頭部の出血や腫脹、そのほか、外力の加わるところに出血がおこりやすい。また、歯や骨の発育が悪く、骨折をおこしやすい。生後6か月以後の人工栄養児に主としてみられる乳児壊血病は、記載した2人の医師名をとりメーラー‐バーロウ病Möller-Barlow diseaseともよばれる。この場合、体重の増加が停止し、骨成長に重要な骨端軟骨部における骨質の新生が障害され、骨膜下出血をおこしやすく、おむつを交換するときに泣くことから気づくことが多い。
治療は、乳幼児ではビタミンCを100~200ミリグラム、成人では500~1000ミリグラムを毎日静脈注射し、症状が改善されたら1日の所要量(成人で50ミリグラム)を摂取するように切り替える。予防には、ビタミンCに富む緑野菜、柑橘(かんきつ)類、イチゴ、緑茶を摂取するが、とくにビタミンCは熱に弱いので、調理の際にビタミンCを破壊しないように注意する。また、妊婦や授乳期間中の婦人はビタミンCの所要量が亢進(こうしん)するので、妊婦は1日60ミリグラム、授乳婦は85ミリグラムは摂取する必要がある。
なお、壊血病は古くから知られ、十字軍の遠征時や大航海時代には患者が多数発生して恐れられた。18世紀中ごろになって、野菜や果物を食べると予防と治療に効果のあることが立証された。20世紀になって、脚気(かっけ)の実験で知られる鳥類白米病をモルモット(テンジクネズミ)で試みたところ壊血病をおこし、野菜を与えると治癒したことから、壊血病に対する予防と治療に役だつ有効物質の検索が進められるようになり、やがてビタミンCが発見された。多くの動物ではブドウ糖から出発してアスコルビン酸をつくる生合成の経路を体内にもっているので壊血病にはなりにくいが、ヒト、サル、モルモットではこの経路の一部が欠けているために生合成されず、不足すると壊血病をおこす。そのほか、最近アスコルビン酸の抗癌(こうがん)作用、抗アレルギー作用、解毒作用などの薬理作用が注目されている。
[橋詰直孝]
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
「ビタミンC」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…どのビタミンについても,それが欠乏すると欠乏症が起こり,生体は正常な成長発育ができず,健康を維持することもできなくなる。
[ビタミン発見,研究の歴史]
壊血病の予防には野菜や果物の摂取が必要であることは,17~18世紀には経験的に明らかになっていた。しかし,生理学,栄養学的にビタミンの研究が進んだのは,19世紀後半になってからであった。…
※「壊血病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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