アセタール

化学辞典 第2版 「アセタール」の解説

アセタール
アセタール
acetal

同一炭素原子が2個のエーテル結合をしたような構造を含む化合物総称R1,R2 のうちの一つがHのものは,アルデヒドのアセタールで,アルデヒドアルコールの混合物に塩化水素塩化亜鉛などの酸触媒を加えて熱すると生じる.R1,R2 がいずれも炭化水素基のものは,ケトンのアセタール(ケタール)で,アルデヒドアセタールと同じようにして合成される.以前はアルデヒドのアセタールをアルデヒドアセタール,ケトンのアセタールをケタールと区別していたが,IUPAC命名規則ではアセタールに統一された.

アセタールは,一般にアルカリに安定であるが,酸水溶液と温めると容易に加水分解されてカルボニル化合物になるので,合成化学的にはカルボニル基の保護に利用される.アセトアルデヒドジエチルアセタールCH3CH(OC2H5)2を単にアセタールとよぶ場合がある.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセタール」の意味・わかりやすい解説

アセタール
あせたーる
acetal

同一炭素原子が2個のエーテル結合をしたような構造をもつ化合物(アセタール類)の総称として用いられる場合と、アセトアルデヒドジエチルアセタール、すなわち1,1-ジエトキシエタンの略称として用いられる場合とがあるが、普通は前者をさす。

 一般にアルデヒドRCHOをアルコールR'OH中で塩酸または塩化鉄(Ⅲ)存在下で加熱すると、ヘミアセタールRCH(OH)(OR')を経てアセタールRCH(OR')2を生成する。低級のアセタールは無色の液体であるが、高級のものは固体である。アルコールやエーテルには容易に溶けるが、水には溶けにくい。有機合成の過程でアルデヒドやヒドロキシ基を保護するために、これらをアセタールに誘導する。水または塩酸と加熱すると容易に加水分解してアルデヒドとアルコールに戻るが、アルカリには安定である。また1,1-ジエトキシエタンは無色の芳香のある液体で、有機溶剤や合成香料の原料として用いられる。

[徳丸克己]


アセタール(データノート)
あせたーるでーたのーと

アセタール
  CH3CH(OC2H5)2
 分子式 C6H14O2
 分子量 118.2
 融点  -
 沸点  102.73℃/771mmHg
 屈折率(n)1.38077

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栄養・生化学辞典 「アセタール」の解説

アセタール


 一般に上の構造のものをいう.RがHのものをヘミアセタールといい,配糖体の糖部分の構造にみられる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アセタール」の意味・わかりやすい解説

アセタール
acetal

アルデヒドまたはケトンのカルボニル基と水酸基との間でできるエーテル結合をもつ化合物の総称。

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