アゼスゲ(読み)あぜすげ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アゼスゲ」の意味・わかりやすい解説

アゼスゲ
あぜすげ / 畦菅
[学] Carex thunbergii Steud.

カヤツリグサ科(APG分類:カヤツリグサ科)の多年草。地下に細長い走出枝を伸ばし、高さ20~60センチメートル。葉は柔らかく、幅2~4ミリメートル。雌小穂は円柱形で直立し、長さ2~5センチメートル。雌花鱗片(りんぺん)は黒褐色でよく目だつ。平地の水湿地、川岸あぜなどに群生し、花期は5~6月。葉は縄などに利用される。北海道本州樺太(からふと)(サハリン)、千島に分布するが、変異が大きい。北海道の湿原に生え、走出枝が伸びなくなった変種はオオアゼスゲとして区別される。それらは走出枝を伸ばさなくなったため、大きな株になり小さな丘のように盛り上がって、谷地坊主(やちぼうず)とよばれるものをつくる。

[木下栄一郎 2019年7月19日]


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百科事典マイペディア 「アゼスゲ」の意味・わかりやすい解説

アゼスゲ

北海道,本州の池畔や田の畔(あぜ)などに多いカヤツリグサ科の多年草。葉はやわらかく,線形で幅2〜4mm。春,高さ20〜80cmの花茎を立てて数個の小穂をつける。上方の1〜2個は雄性小穂,線形で多くは黒褐色を帯びる。雌性小穂は1〜3個,円柱形で,密にレンズ形の果胞を多数つけ,黒褐色の鱗片がある。

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世界大百科事典(旧版)内のアゼスゲの言及

【スゲ(菅)】より

… 生態的に見るとスゲはあらゆる生態条件下に見られるが,カサスゲのように湿地に生えるスゲはたいへん多く,山の渓流に沿って見るナルコスゲC.curvicollis Fr.et Sav.では,細い柄をもった円柱形の小穂が垂れ下がり鳴子を思わせるが,同じ鳴子形の花序をもち,葉の鋸歯が手を切るほど鋭いというテキリスゲC.kiotensis Fr.et Sav.は山中の湿地に,ゴウソC.maximowiczii Miq.は水田のあぜに多い。アゼスゲC.thunbergii Steud.,カワラスゲC.incisa Boott,大きな果胞をもったオニスゲC.dickinsii Fr.et Sav.,ウマスゲC.idzuroei Fr.et Sav.等みな湿地生である。 丘陵地の林の中にもスゲは多い。…

※「アゼスゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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