翻訳|atrium
古代ローマ住宅の玄関ホールの役割を果たした中庭,あるいは初期キリスト教のバシリカ式教会堂の回廊で囲われた前庭,後には,広く玄関一般を指すようになる。ポンペイなどで発掘された古代都市住宅は敷地全体に高い壁をめぐらし,各室はすべてアトリウムと広い裏庭(ペリステュルム)の二つの中庭を囲んで配置される〈コートハウス(中庭式住宅)〉の形式をとっており,アトリウムは家の中心となるべき空間であった。ウィトルウィウスによれば,この空間は規模,屋根の有無などによって五つに分類されるというが,そのほとんどはポンペイなどで実在が確かめられる。一方,教会堂のアトリウムは,東方教会が起源と見られ,屋外説教や交易の場などさまざまな用途にあてられたが,ロマネスク時代にはほとんど造られなくなる。
執筆者:福田 晴虔
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…心臓の外表面は共通の心外膜でおおわれるが,内腔面は左心と右心につきそれぞれ1葉の心内膜endocardiumが心房,房室弁,腱索,心室,動脈弁をおおい,それはさらに心臓に出入りする血管の内皮に連なる(図6)。
[左右の心房]
左右の心房atriumにはそれぞれ前方内側寄りに張り出す心耳がある。これらは心基部の前上から出る大動脈と肺動脈を左右から取り囲む。…
…もっとも有名な例がポンペイの住居址群(前2世紀ころ~後1世紀)であり,類似の形式は地中海沿岸の各地に見いだされる。ドムスdomusと呼ばれる大型の中庭型住居では,街路に面した入口が二重扉になっていて安全を確保し,そこからアトリウムと呼ばれる第1の中庭にいたる。アトリウムは周囲を屋根に囲まれた小型の中庭で,中央に雨水を受ける浅い池が設けられる。…
…【小林 雅夫】
【日常生活】
[住居]
古代ローマの都市住宅は一戸建邸宅(ドムスdomus)と共同住宅(インスラinsula)の二つに大別される。典型的なドムスでは,玄関に続いて天窓を有する中央広間(アトリウム)があり,左右には開放された翼室(アラala)が配されていた。元来はこのアトリウムが家の中心で,寝室,食堂などもそのまわりにあったが,やがて奥庭部分が列柱廊式になり,それを囲んで寝室,食堂,厨房,浴室などが配されて,接客用のアトリウムに対し,ペリステュリウムperistyliumと呼ばれるこの列柱廊を含んだ一画が居住の中心となった。…
…これらはいずれもエトルリアの神殿にみられた特徴である。ローマの住宅は玄関(ウェスティブルムvestibulum)をはいると広間(アトリウム)があり,正面には主人のための主室(タブリヌムtabulinum,tablinum),左右には個室(クビクルムcubiculum)がならんでいる。食堂(トリクリニウムtriculinium)は主室の並びに設けられる。…
※「アトリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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