アブラガレイ(読み)あぶらがれい(その他表記)arrowtooth flounder

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブラガレイ」の意味・わかりやすい解説

アブラガレイ
あぶらがれい / 油鰈
脂鰈
arrowtooth flounder
[学] Atheresthes evermanni

硬骨魚綱カレイ目カレイ科に属する海水魚。本州中部海域から樺太(からふと)(サハリン)や千島列島にかけて分布するが、日本海とオホーツク海には少ない。和名は肉に脂(あぶら)が多いことに由来する。体は長楕円(ちょうだえん)形であること、口は著しく大きく、目の後縁まで開くこと、尾びれの後縁は上下にほぼまっすぐか湾入形であることなどでカラスガレイに似るが、上下のあごには2列の犬歯が並び、内側の歯は倒すことができること、大部分の歯は先端に逆さの棘(とげ)をそなえる弓矢状であることなどの特徴で区別できる。体は有眼側では暗黄褐色、無眼側では黄褐色のものが多い。

 水深60~900メートルの砂泥底にすみ、ホッケニシン、カレイ、イカ類を食べる。全長1メートル余りになる。雌は生後8~9年で、雄は6~7年で成熟し、秋から冬にかけて産卵する。11~12月ごろにトロール延縄(はえなわ)で多量に漁獲される。肉は脂が多く不味とされていたが、蒸して脂を除いてから煮つけると味がよい。

[尼岡邦夫]


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改訂新版 世界大百科事典 「アブラガレイ」の意味・わかりやすい解説

アブラガレイ
arrowtooth halibut
Atheresthes evermanni

カレイ目カレイ科の魚で,東北地方からオホーツク海のとくに太平洋岸の水深100~300m付近の海底に生息する。体は長楕円形で,頭や口が大きく,尾柄部は細い。体色は黄褐色で側線が斜め後方に直走している。全長は最大70cmあまりになる。産卵期は秋である。雄は6~7歳,雌は8~9歳で成熟し寿命は15歳程度である。ヒラメ,オヒョウなどとともに,カレイ類中での代表的な魚食魚であり,ホッケ,ニシン,小型のカレイなどを食べる。体の構造も食性に適しており上顎長が長く,口の両側に鋭い犬歯状の歯があり,鰓耙(さいは)は針状でとげが密生する。底引網やはえなわでとくに冬に多獲されるが,一般にはかまぼこの加工にまわり,小売市場に出ることは少ない。カレイ類中ではもっとも不味の部類に入るため,ネコマタギエンギリと呼ばれて商品価値は低い。しかし,油がビタミン油の原料となるほか,近年冷凍された切身がフライ用にアメリカに輸出されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブラガレイ」の意味・わかりやすい解説

アブラガレイ
Atheresthes evermanni

カレイ目カレイ科の海水魚。全長約 70cm。体は暗黄褐色で,頭や口が大きい。眼は体の右側にある。肉は不味で食用とならないが,油をビタミン油の原料として利用する。茨城県以北,千島列島,サハリンに分布する。

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栄養・生化学辞典 「アブラガレイ」の解説

アブラガレイ

 [Atheresthes evermanni].カレイ目カレイ科の海産魚で,全長1mに達する.

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