アンナカレーニナ

精選版 日本国語大辞典 「アンナカレーニナ」の意味・読み・例文・類語

アンナ‐カレーニナ

(原題Anna Karjenina) 長編小説トルストイ作。一八七五~七六年に執筆。人妻アンナと、貴族将校ウロンスキーとの恋愛をめぐり、一八六〇年代のロシア貴族社会を批判的に描く。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「アンナカレーニナ」の意味・読み・例文・類語

アンナ‐カレーニナ(Anna Karenina)

レフ=トルストイの長編小説。1873~1877年に発表。愛のない結婚生活を捨てて、青年貴族との愛に生きようとした人妻アンナの悲劇的生涯を、当時の貴族社会への批判を込めて描く。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「アンナカレーニナ」の意味・わかりやすい解説

アンナ・カレーニナ
Anna Karenina

ロシアの小説家レフ・トルストイの長編小説。1875-77年刊。女主人公アンナは,ペテルブルグの政府高官カレーニンの妻であるが,冷ややかでよそよそしい夫にあきたらず,美貌の青年将校ウロンスキーを愛するようになる。世間体よりも自分の感情を忠実に貫こうとしたアンナは,貴族社会から締め出され,愛人の愛情にも疑いをもつようになって,ついに鉄道自殺をとげる。これと対照的に描かれるのが,トルストイの分身とも言えるレービンとキティとの祝福された牧歌的な愛である。人間の愛のさまざまな様相が鋭利な心理分析によって展開される,恋愛小説中の傑作とも言えるこの作品を,同時代の批評家は,貴族社会を描いた当時流行の姦通小説という枠組みでしかみなかった。しかしドストエフスキーが指摘したように,思想性をもつすぐれた社会小説であり,農奴解放の結果生まれた大いなる社会変動を多面的に描いた時事小説でもある。日本では,瀬沼夏葉・尾崎紅葉の翻訳で初めて紹介(1902-03)されたが,冒頭の6章のみで中絶し,ついで柴田流星による英語からの抄訳(1906)があったが,本格的な翻訳は1913年の相馬御風訳を待たねばならなかった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android