アンナン山脈(読み)アンナンサンミャク(その他表記)Annamese Cordillera

デジタル大辞泉 「アンナン山脈」の意味・読み・例文・類語

アンナン‐さんみゃく【アンナン山脈】

Annamese Cordillera》インドシナ半島東部の山脈。ベトナム北部からラオスとの国境を走り、ふたたびベトナム中南部にいたる。全長約1100キロメートル。メコン川に注ぐ支流源流が多く、ボーラウェン高原やコントゥム高原などを含む。

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改訂新版 世界大百科事典 「アンナン山脈」の意味・わかりやすい解説

アンナン[山脈]
Annamese Cordillera

インドシナ半島の北部,ラオス北部より南東にベトナムとの国境をなしつつ延び,さらにアンナン海岸に沿い南下してベトナム南部にまで及ぶ長大な山脈。チュオンソンTruong Son山脈ともいう。小縮尺の地図では単純な山脈のように見えるが,実は多くの複雑な構造をもつ地塊状の山地の集合である。一般にダナン付近までを北部,それ以南を南部の二つに区分できよう。北部ではラオスのプー・ビア(2820m),国境のプー・ライ・レン(2711m)などの高峰がそびえ,ダナン付近で山は海岸に迫り,海岸平野はほとんどなくなる。南部ではゴク・リン(2598m),プー・アト(2500m)などの山がそびえる。アンナン山脈は古い地層から成り,東斜面は急であるが,西斜面は緩傾斜をなしている。所々に山脈を越えるムーチア,アイラオなどの峠があり,ラオス方面との交通に資する。熱帯雨林に覆われ,山の高いことが地理的境界の役をなし,これを境にインドシナ半島で中国,インド両文化圏を分けていることは重要である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンナン山脈」の意味・わかりやすい解説

アンナン山脈
アンナンさんみゃく
Chaîne Annamitique

チベット方面からインドシナ半島に南下する山脈のうち最も東側の山脈。同半島の東岸に沿って北西-南東方向に約 1000kmにわたって延び,ラオスとベトナムを分ける。ベトナムではチュオンソン Truong Son (「長い山」の意) と呼ばれる。東のベトナム側は急斜面で狭い海岸平野にのぞむが,西のラオス側はメコン川に向って緩斜面をなす。最高峰は山脈中部のベトナム領内にあるゴクリン山 (2598m) 。平均標高は 1300~1700m程度とあまり高くないが,山脈越えの峠は少く,古くからケオヌア,ムジャ,バンサンなどの峠がラオスとベトナムの海岸地方を結ぶ重要な交通路であった。地質的には古い山脈で,北部はおもに石灰岩砂岩花崗岩,片麻岩などから成る。南部では基盤の結晶質岩石の露出が目立ち,ところどころを玄武岩の溶岩流がおおい,ラオスのボロベン高原,ベトナムのコントゥム高原,ダクラク高原などを形成している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンナン山脈」の意味・わかりやすい解説

アンナン山脈
あんなんさんみゃく
Annamese Cordillera

ベトナム北部からラオスとの国境を南南東へ走り、ベトナム中南部に達する山脈。別名長山山脈。全長約1100キロメートル。地塁山地準平原が発達する。山脈中にプー・ビア山(2820メートル)、プー・ライ・レング山(2711メートル)などがある。山脈の中部ではラオス側は緩傾斜で、ベトナム側は比較的急傾斜である。山脈の走向がモンスーン風向きと斜交するため、降水量が多く、年4000ミリメートルを超える地域もある。このため、この山脈を水源とするセサン川、スレポク川、セバンヒエン川などメコン川の支流は流量が多く、メコン川下流の洪水の状態を左右する。

[大矢雅彦]

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世界大百科事典(旧版)内のアンナン山脈の言及

【インドシナ】より


[中国化の歴史]
 インドシナにおける国家形成は中国とインドの影響を受けて進行した。インドシナ半島の東部を南北に走るアンナン(チュオンソン)山脈は,二つの大文明の影響圏を東西に分かつ分水嶺の役割を果たしている。インドシナ〈中国化〉の重要な契機は経済的理由であった。…

【ベトナム】より

…トンキン湾北部は沈降性で,アロン湾におけるような石灰岩の島々が特異な景観を形成する。 山地の主脈は,ラオスとの国境をつくりつつアンナン山脈となり南東にのびる。アンナン山脈は海岸に向かって急傾斜し,ことにダナン付近からは南に転じて山が海に迫り,海岸平野は狭小となる。…

※「アンナン山脈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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