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イアソン Iason

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イアソン
Iason

アルゴ船の遠征を主宰したギリシア神話の英雄アイソンの息子。ケンタウロスケイロンに養育されたが,成人すると故郷のイオルコスに帰り,父の王位を簒奪していた叔父ペリアスに王位の返還を要求したところ,ペリアスからコルキスアイエテス王のところにある金毛羊皮を取戻してくることを求められた。ヘラとアテナ両女神の助けによってアルゴ船を建造したイアソンは,この船に,アルゴナウタイと呼ばれるギリシア各地から集った英雄たちとともに乗組み,途中多くの冒険にあいながらダーダネルス海峡を越え,黒海の奥のコルキスまで航海し,彼に恋したアイエテスの娘の魔女メデイアの助けを得て首尾よく金毛羊皮を手に入れ,妻となったメデイアを連れ無事帰国すると,メデイアの魔法の力をかりてペリアスをだまし,その娘たちの手で釜ゆでにして殺させた。このあとイオルコスから追放されたイアソンは,メデイアとともにコリントに亡命し,2人の子をもうけたが,心変りしてコリントの王女クレウサと結婚しようとしたため,怒ったメデイアは毒を塗った衣をクレウサに贈り,彼女を横死させたうえ,わが子たちまで殺し,空を飛ぶ車に乗ってアテネに逃れた。イアソンはこのあと,ペリアスの子アカストスの手からイオルコスの王位を奪還したが,最後にはアルゴ船の船首につぶされて死んだという。

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デジタル大辞泉の解説

イアソン(Iāsōn)

ギリシャ神話の英雄。金毛の羊の皮を求めて黒海東端の蛮地コルキスに遠征し、アルゴ船探検隊を指揮。自分を助けてくれたコルキス王の娘メデイアを連れ帰り、妻とした。

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百科事典マイペディアの解説

イアソン

ギリシア伝説でテッサリアのイオルコス王アイソンの子。父の王位を奪った叔父ペリアスに東方のコルキスから金羊皮を持ち帰れとの難題を課された(アルゴナウタイ伝説)が,イアソンはこれをやりとげ,同地の王女メデイアと結婚して帰国。

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世界大百科事典 第2版の解説

イアソン【Iasōn】

ギリシア伝説で,アルゴ船乗組員の指揮者として活躍した英雄。イオルコス王アイソンAisōnの子。幼少のころ,父の異父兄弟ペリアスPeliasが父の王権を奪ったため,ケンタウロス族の賢者ケイロンのもとで養育された。成人後,国に戻ってペリアスに王国返還を求めると,東方の蛮地コルキスから金毛羊皮を持参せよと命じられた。そこで彼は大船アルゴを建造,全ギリシアの名だたる英雄たちを率いてコルキスを訪れ,同地の王の娘で魔女のメデイアの助けを借りて羊皮を入手,彼女を伴って帰国した。

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大辞林 第三版の解説

イアソン【Iāsōn】

ギリシャ神話中の英雄。五〇人余りの英雄を率いてアルゴ号で遠征。女魔法使いメデイアの助けでコルキス王から金の羊皮を手に入れて凱旋がいせんした。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イアソン
いあそん
Isn

ギリシア神話の英雄。アルゴ船物語の主人公。テッサリアの大都イオルコスの王である父アイソンは、異父兄弟ペリアスによって王座を追われたが、1子イアソンにまで迫害の及ぶことを恐れ、ケンタウロス族の賢者ケイロンに息子を預けた。やがて成人したイアソンは、王位継承権を要求するためペリアスの所へ向かうが、その途中、卑しい老婆に変装したヘラ女神に会って、川の向こう岸に渡してやる際、片方のサンダルを失う。一方、以前片足サンダルの男に破滅させられるであろうとの神託を受けていたペリアスは、イアソンを亡き者にしようと企て、金の羊毛皮をコルキスの地から奪ってくるよう命じた。イアソンはギリシア中の英雄、豪傑を集めてアルゴ船に乗り組み、苦難のすえ黒海のかなたのコルキスに着いた。そしてアイエテス王から、口から火を吐く牡牛(おうし)で畑を耕し、竜の牙(きば)を播(ま)くという難題を課せられるが、彼に恋した王女メデイアの助けで無事にこれを果たし、金の羊毛皮を手に入れて、妻となったメデイアとともに帰国する。
 しかし、メデイアの魔術によってペリアスを殺害したため祖国を追われた2人は、コリントスに逃れた。そののちイアソンは、メデイアを捨ててコリントス王の婿となったが、怒り狂ったメデイアはイアソンとの間にもうけた2子を虐殺、花嫁をも魔薬で殺した。そして、イアソンはアルゴ船の朽ちた船材を頭上に受けて死んだともいわれる。
 イアソンの物語は、ピンダロス(前522/518―前442/438)の『ピティア第四歌』、またロドスのアポロニオス(前295ころ―?)の『アルゴナウティカ』などに詳しい。[中務哲郎]

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世界大百科事典内のイアソンの言及

【アルゴナウタイ伝説】より

…アルゴナウタイArgonautaiとは,ギリシア神話で金羊毛を獲得するために英雄イアソンが企てた遠征に参加した一群の英雄の総称で〈アルゴ船の乗組員たち〉の意。彼らにまつわる冒険譚が《アルゴナウティカ(アルゴナウタイ物語)》といわれ,ホメロスさえ周知の物語として言及する古い伝説で,ヘレニズム時代のロドスのアポロニオスの作品をはじめ,ほかに2編この表題の叙事詩が伝存する。…

【ギリシア文学】より

…狂暴な神々は去り,人間中心の小叙事詩やエピグラム詩の中には,穏やかな人の心と自然の営みが歌われ,恋人たち,幼い子どもたちの愛すべき姿が登場する。アポロニオスの《アルゴナウティカ》の英雄イアソンは,初期叙事詩の武張った強勇の士たちとは著しく異なり,コルキスの王女メデイアの心を恋の炎で焼き焦がすロマンスの騎士に近いものとなっている。 アポロニオスやカリマコス,また《ギリシア詞華集》に幾多の秀作をとどめているエピグラム詩人たちが掲げた文学的規範は,ギリシア文学を〈ポリス的世界〉という約束から解放し,〈純文学〉という新しい世界を開くものであった。…

【メデイア】より

…太陽神ヘリオスの孫娘で,キルケの姪にあたる。イアソンが叔父のイオルコス王ペリアスPeliasのいいつけで金毛羊皮を捜しにコルキスに来たとき,イアソンに恋したメデイアは彼を助けて羊皮を手に入れさせ,彼に伴われてギリシアに向かった。二人がイオルコスに来てみると,イアソンの父アイソンAisōnはペリアスのために自殺させられていたので,彼女はペリアスの娘たちに羊を釜ゆでにして若返らせて見せ,同じ方法で娘たちに父王を殺させた。…

※「イアソン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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