C20H30O2(302.44).略称IPA,EPA.エイコサペンタエン酸ともいう.植物性プランクトンに多く含まれている高度不飽和脂肪酸で,食物連鎖により,イワシ,サバ,サンマなどの背中の青い魚にアシルグリセリンの形で多量に蓄積されている.グリーンランドのイヌイットの人たちには狭心症や脳血栓が少ないのは,こうしたIPAを多く含む魚を多く食べる食習慣にある.アラキドン酸(ARA)より二重結合が一つ多いIPAは,生体内でリノレン酸から合成され,ドコサヘキサエン酸(DHA)へと代謝される.ARA,IPAは,プロスタグランジン,トロンボキサンなどのイコサノイドの前駆物質である.ARAとIPAから生成するトロンボキサンの血小板凝集作用を比較すると,後者からのもののほうがはるかに弱い.IPAは医薬品,健康食品として使われている.融点-54~-53 ℃.[CAS 1553-41-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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