イチハツ(鳶尾)(読み)イチハツ(英語表記)Iris tectorum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イチハツ(鳶尾)」の意味・わかりやすい解説

イチハツ(鳶尾)
イチハツ
Iris tectorum

アヤメ科多年草。中国原産で,日本には古くから渡来した。観賞用に水はけのよいところなどに植えられ,また,しばしば農家のわらぶき屋根の上に植えられた。葉は幅広く3~4cmになり,先端は剣状で脈が多少隆起する。淡緑色で光沢がある。花はアヤメより早く5月に咲く。イチハツの名は,この類のものとして最初に咲くことからつけられたという。花の直径は 10cmぐらい,3枚の外花被片は広い円形で紫色に濃色の斑点がある。また中央の基部のほうに白色の鶏冠状の突起があるのが特徴,内花被片も卵形に広がり基部は細まる。花の色は紫色であるが,白花のシロバナイチハツもある。根茎を乾かしたものが生薬の鳶尾根で,吐剤または下剤として用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android