イヌビユ(読み)いぬびゆ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌビユ」の意味・わかりやすい解説

イヌビユ
いぬびゆ / 犬莧
[学] Amaranthus blitum L.
Amaranthus lividus L.

ヒユ科(APG分類:ヒユ科)の一年草。茎は高さ30センチメートルで紅色を帯び、基部からよく分枝し、無毛。葉は互生し長い柄があり、菱(ひし)状卵形で先端が著しくへこみ、長さ1~5センチメートル。夏秋のころ、緑色を帯びた花が葉腋(ようえき)に集まるか、または枝先に3~5センチメートルの穂をなしてつく。包葉は卵形で先端がとがり、膜質で花被(かひ)より短い。花被は3枚でへら形、胞果は花被片より長く、わずかにしわがあり、裂開せず、種子黒色光沢があり、レンズ状。世界中に広く分布し、日本へは江戸時代に帰化し、道端や畑など日当りのよい所に生え、雑草化している。若葉食用となる。

[小林純子 2021年1月21日]


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百科事典マイペディア 「イヌビユ」の意味・わかりやすい解説

イヌビユ

ヒユ科の一年草。全世界に広く分布。平地,とくに畑や荒地にはえる。全体に柔らかい。茎は枝分れして斜上し,高さ20cm内外。菱形(ひしがた)状卵形で先端のへこむ葉を互生する。6〜9月に茎頂や葉腋から細長い穂状花序を伸ばし緑色の小さな花をつける。果実は菱形状楕円形で,下半分にしわがある。近縁アオビユ(別名ホナガイヌビユ)は熱帯アメリカ原産の帰化植物。葉が大きく,花穂が長く,果実は全面に著しいしわがある。近年はこちらの方が多く見られる。

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世界大百科事典(旧版)内のイヌビユの言及

【ヒユ】より

…日本には野生種はないが,10種以上が帰化している。中でもアオゲイトウA.retroflexus L.(英名pigweed),ホソアオゲイトウA.patulus Bertoloui(イラスト),ホナガイヌビユA.viridis L.,イヌビユA.lividus L.(イラスト)の4種は日本全土に広がっており,市街地の荒地に普通に見られる。これら4種は熱帯アメリカ原産といわれているが,現在では汎(はん)世界的に広がっており,本来の分布域は正確にはわからない。…

※「イヌビユ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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