インド憲法(読み)インドけんぽう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インド憲法」の意味・わかりやすい解説

インド憲法
インドけんぽう

1949年 11月公布,50年1月施行。 1935年のインド自治法とインド独立法 (1947) を継承したもので,22編,359条で9付則から成り,これまでに 70回以上も改正された。主権在民の共和国であることが明示されている。大統領は行政府の長であるが,連邦首相は立法府の長であり,後者前者に優先する。最大の特徴は連邦・州から成るインド型連邦制を打出した点にあり,政治形態としては議院内閣制をとる。また,インドがヒンドゥー多数国家であるにもかかわらず信教の自由を掲げ,政教分離主義 Secularismを原則としている。憲法条項に関する改正は下院で3分の2以上の賛成を必要とするが,通常の議案過半数議決による。憲法改正回数が多いのは,宗主国イギリスが慣習法国家であったこと,300年以上に及ぶ植民地支配下で形成された法慣習を背景にして,憲法条項は細則までも包括せざるをえない事情があったためである。現在,非常事態期 (75~77) に強行された改悪 (行政府と立法府の優位などを定めた) の是正が望まれている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「インド憲法」の解説

インド憲法(インドけんぽう)
The Constitution of India

1950年施行。395条12付表からなる世界でも稀にみる長文憲法。連邦制をとるが,特殊な歴史を有するジャンムー・カシュミール州を除き州は独自憲法を持たない。大統領を元首とし,基本的に議院内閣制を採用連邦議会は上下二院制を,州は二院制または一院制をとる。改正が容易で2000年までに約90次の改正を行った。

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