改訂新版 世界大百科事典 「ウェストミンスター」の意味・わかりやすい解説
ウェストミンスター
Westminster
イギリスの首都大ロンドンを構成する32区の一つ。公式にはウェストミンスター市。人口18万1279(2001)。テムズ川の北岸に位置し,西のケンジントン・チェルシー,東のシティとともに,現在のロンドンの中心を形づくっている。元来は沼沢地であったが,11世紀ここにエドワード懺悔王が〈ウェストミンスター(西の修道院)〉を建てたのが,地名の起源。これがウェストミンスター・アベーとして発展し,また同じエドワード懺悔王によって宮殿も建てられ,のちに議会がそのセント・スティーブン礼拝堂St.Stephen's Chapelで開かれるようになった。宮廷は16世紀に隣接のホワイトホール宮殿に移ったが,ウェストミンスターは宮廷と政治の中心でありつづけた。1834年の火災ののち,C.バリーの設計により国会議事堂,官庁街,トラファルガー広場などの整備が進み,現在の景観が整えられた。バッキンガム宮殿,四大公園,劇場,クラブ,レストラン,ホテル,商店もここに位置し,〈ウェスト・エンド〉のにぎわいをみせている。
執筆者:今井 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報