イギリス国会議事堂(読み)イギリスこっかいぎじどう(その他表記)British Houses of Parliament

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イギリス国会議事堂」の意味・わかりやすい解説

イギリス国会議事堂
イギリスこっかいぎじどう
British Houses of Parliament

イギリス,ロンドンの中心部ウェストミンスターに所在。かつて宮殿であったことからウェストミンスター・パレス Palace of Westminsterとも呼ばれる。エドワード王が 1050年から 15年の歳月をかけ王宮として建築。1512年の大火後の 1529年,ヘンリー8世が王宮をホワイトホールに移したため宮殿としての機能を失い,1547年以降はセント・スティーブンズ地下礼拝堂に下院議場が置かれた。1834年の火災でウェストミンスター・ホールとセント・スティーブンズ地下礼拝堂を除いて建物が全焼したため,1836年の設計コンクールで当選したチャールズ・バリーの案により,細部設計をオーガスタス・ウェルビー・ノースモア・ピュージンが担当,1840~65年に再建された。平面は中央に八角形のホールを置き,そこから十字形に突き出た翼屋と,中庭を囲む建物からなる。パーペンディキュラー様式で豊かに装飾された時計塔(→ビッグ・ベン)をはじめ,小塔を戴く外観は,周囲とよく調和している。また屋根がすべて鉄製であることも特徴。ゴシック・リバイバルの重要なものであると同時に,19世紀のイギリス建築を代表する大作である。1987年ウェストミンスター寺院セント・マーガレット聖堂とともに,世界遺産文化遺産登録

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改訂新版 世界大百科事典 「イギリス国会議事堂」の意味・わかりやすい解説

イギリス国会議事堂 (イギリスこっかいぎじどう)
Houses of Parliament

ロンドンのテムズ河畔にあるビクトリア朝最初の大規模建築で,ゴシック・リバイバルの代表作。16世紀以来国会の議場に用いられてきたウェストミンスター宮殿が1834年焼失したので,〈ゴシックまたはエリザベス朝様式〉という条件で設計を公募して建設されたもの。当時は〈ウェストミンスター新宮殿〉と呼ばれた。設計者はバリー。細部の設計はピュージンによる。40年起工,60年までに主要部分が完成。屋根の小屋組み鉄骨造,空調設備も設けられた近代的建築であった。時計塔(高さ約100m)内の大時鐘(直径2.8m,重さが13.5t)は,大男の工事責任者ホールBenjamin Hallの愛称をとって〈ビッグ・ベンBig Ben〉と名付けられた。議事堂は第2次大戦で破壊されたが,この議場こそ議会精神の体現であるという首相W.チャーチルの演説によって,旧状どおりに復元された。
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百科事典マイペディア 「イギリス国会議事堂」の意味・わかりやすい解説

イギリス国会議事堂【イギリスこっかいぎじどう】

ロンドン,テムズ河畔にあるゴシック・リバイバルの代表的建築。設計はバリー,細部の設計はピュージンによる。ビクトリア朝最初の大規模建築で,1840年起工,1860年までに主要部分が完成した。時計塔の〈ビッグ・ベンBig Ben〉という呼名は,大男の工事責任者ベンジャミン・ホールの愛称に由来。第2次大戦で破壊されたが,戦後復元された。
→関連項目ホワイトホールロンドン

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世界大百科事典(旧版)内のイギリス国会議事堂の言及

【塔】より


[近代]
 19世紀のゴシック・リバイバルにおいて,塔のイメージが蘇生する。イギリス国会議事堂(バリー,ピュージン設計,1836‐61)はゴシック様式の世俗建築への適用例であり,時計塔は高さ97m,ビクトリア塔は110mに達する。同議事堂に見られるように,鐘塔にかわって時計台という塔が生まれるのも,近代の特徴である。…

【バリー】より

…イギリスの建築家。イギリス国会議事堂の設計で知られる。ロンドンに生まれ,グランド・ツアー(1817‐20)後しばらくは,セント・ピーター教会(ブライトン,1826)などゴシック様式による聖堂を建て,その正確な様式復元はゴシック・リバイバルの先駆となった。…

【ピュージン】より

…中世主義を信奉し宗教的観点に立ち,《対比Contrasts》(1836)などの著書で,古典主義を厳しく批判しつつ,ゴシック様式を提唱し,実際にセント・ジャイルズ教会(スタフォードシャー,1846)をはじめ多くのカトリック聖堂を設計。バリーとの協同によるイギリス国会議事堂の設計競争(1836)では後期ゴシック風の意匠全般の設計を担当して,1等入選に大きく貢献した。【星 和彦】。…

※「イギリス国会議事堂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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