ウェーバー線(読み)ウェーバーせん(英語表記)Weber's line

精選版 日本国語大辞典 「ウェーバー線」の意味・読み・例文・類語

ウェーバー‐せん【ウェーバー線】

(ウェーバーは人名Weber) 動物地理学における分布上の一境界線。一八八八年に、オランダマックス=ウェーバーが提唱

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デジタル大辞泉 「ウェーバー線」の意味・読み・例文・類語

ウェーバー‐せん【ウェーバー線】

オランダの生物学者M=ウェーバーが提唱した動物地理学上の境界線。ティモール島の東からモルッカ海峡を抜けて太平洋に至る線で、ウォーレス線より東とするもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェーバー線」の意味・わかりやすい解説

ウェーバー線
うぇーばーせん
Weber's line

動物地理学上、東洋区オーストラリア区とを区分する境界として提唱された動物の分布境界線。南半球の太平洋のタニンバル諸島の西側からブル島の西側を回り込み、スラ島とハルマヘラ島の間を北へ抜けるので、ワラス線よりかなり東に位置し、東南アジアからニューギニアへ移行する地域の東部を横切る。マレー諸島淡水魚を研究したオランダの生物学者ウェーバーによって提唱されたのでこの名がついたが、例外が多く、絶対的なものではない。

[上野俊一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェーバー線」の意味・わかりやすい解説

ウェーバー線
ウェーバーせん
Weber's Line

動物地理学上の分布境界線の一つ。 M.ウェーバーらがマレー諸島付近の淡水魚類の分布を調べて,ティモールスラウェシ (セレベス) 島の東側,セラム,ハルマヘラ島の西側の海上を通る線が,動物地理学上の東洋区とオーストラリア区の境界線であることを確かめた (1888,1904) ため,この名称が与えられた。淡水魚以外の動物については,これより西方ウォレス線が両区の境界である。

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百科事典マイペディア 「ウェーバー線」の意味・わかりやすい解説

ウェーバー線【ウェーバーせん】

生物地理学上の東洋区とオーストラリア区の境界線。オランダの動物学者M.ウェーバーが淡水魚の分布をもとに提唱。しかしこの線とウォーレス線との間はウォレシアと呼ばれ,両区の生物相の混在地域とされる。

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世界大百科事典(旧版)内のウェーバー線の言及

【インドネシア】より

…西部の島々ではアジア系のものと同じく,象や虎もいるが,マカッサル海峡とロンボク海峡をつなぐいわゆるウォーレス線を境に東部ではオーストラリア系のものが著しくなり,有袋類などがみられる。さらにスラウェシ東岸とチモール島東端とを結ぶウェーバー線によっても若干の動物(鹿の類)の分布の境界線が設定されている。そのほかインドネシアは各種の特殊動物の存在でも知られ,オランウータン,バンテン(野生の牛),野生の小型の馬,コモドオオトカゲなどは有名で,保護区が設けられている。…

【動物地理区】より

… 各区の境界は,海峡,山脈,大河などの地理的障害,緯度的気候,林相,草原,砂漠などの生態的条件により,通常段階的な動物相,植物相の変化で示され,その境はしばしば提唱者の名で呼ばれる。例えば,東洋区とオーストラリア区の境にはウェーバー線とウォーレス線があり,その中間の移行部はワレーシアと呼ぶ(図2)。日本は南北に長く宗谷海峡は八田線,津軽海峡はブラキストン線,屋久島,奄美大島の間は渡瀬線として知られ,沖縄の宮古島と石垣島との間は蜂須賀(はちすが)線と呼ばれる(図3)。…

※「ウェーバー線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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