日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウラン鉱床」の意味・わかりやすい解説
ウラン鉱床
うらんこうしょう
uranium deposit
ウラン鉱物を産する鉱床。ウランは酸化環境で水に溶けて移動しやすいため、鉱床の成因や鉱石の産状は変化に富んでいる。
ウラン鉱床は形態や成因から次の三つに大別される。
(1)火成活動にかかわる鉱床 火山岩、ペグマタイト、カーボナタイトに伴う鉱床や熱水鉱脈鉱床など。オーストラリアの銅・ウラン・金の複合鉱床もこれに含まれる。
(2)堆積(たいせき)性鉱床 酸素濃度が低い原生代にウラン鉱物が水に溶けずに比重差で物理的に濃集した礫岩(れきがん)型鉱床、燐(りん)鉱物にウランが含まれる燐灰土鉱床のほか、炭質物に海水中のウランが吸着されて堆積した黒色頁岩(けつがん)などの化学的に濃集した鉱床とがある。
(3)地表水や地下水に溶解して移動したウランが再沈殿した鉱床 アメリカ、ニジェール、中央アジアなどの古代陸成層に胚胎(はいたい)する砂岩型鉱床、カナダやオーストラリアの原生代の不整合面近くで熱水変質を伴う不整合型鉱床、半乾燥地域の地表で形成された石灰質岩(カルクリートcalcrete)にウランが濃集したカルクリート型鉱床など。
ウラン鉱物の種類は多いが、重要な鉱物は閃(せん)ウラン鉱、ピッチブレンド、燐灰ウラン鉱、カルノー石、コフィン石coffiniteなどである。
2003年時点で稼行されているおもな鉱床は、大規模高品位鉱床が多いカナダやオーストラリアの不整合型鉱床、採掘せずに溶媒を注入してウランを抽出しているウズベキスタンなどの砂岩型鉱床、銅鉱山の副産物としてウランを回収しているオーストラリアおよび南アフリカの礫岩型鉱床などがある。日本には鳥取・岡山県境の人形峠鉱床や、岐阜県東濃(とうのう)地区の東濃鉱山などの砂岩型鉱床がある。
[茂木 睦]