風化、侵食、運搬を含む堆積作用全般と、それに引き続く続成作用によって形成される鉱床。火成鉱床、変成鉱床とともに、鉱床を成因により三大別したうちの一つ。層状をなして広く分布し、大規模な鉱床をつくる例が多い。堆積作用、続成作用は複雑な地質現象であるため、堆積鉱床の成因も多岐にわたっており、まだ十分に体系的な分類はなされていない。風化、侵食、運搬の過程で元素や鉱物の選別、濃集がおこれば、風化残留鉱床、ボーキサイト鉱床(アルミニウムのもっとも主要な供給源)、漂砂鉱床などが形成される。堆積物とともに同生鉱床をつくる例は多種多様で、礫(れき)岩に伴う金・ウラン鉱床(例としては、南アフリカ共和国ウィトワーテルスランド地方の含金礫岩が世界的に有名)、粗い砂岩に伴う銅鉱床(ザンビアのカッパーベルト地方)、細かい砂岩に伴う鉛・亜鉛鉱床(カナダのサリバン鉱床)、泥質岩に伴う銅鉱床、鉛・亜鉛鉱床(ヨーロッパ全域に広がる含銅頁(けつ)岩)、石灰質岩石に伴う鉛・亜鉛鉱床(北アメリカのミシシッピバレー型鉱床)などが代表的なものである。先カンブリア時代のある時期に全世界的な規模で沈殿した縞(しま)状鉄鉱鉱床は、大陸地域に広く分布した良質な鉄資源として重要である。このほか、堆積性マンガン鉱床、カリの資源として重要な岩塩鉱床など、資源上重要な堆積鉱床の例は数多く分布している。
[島崎英彦]
地表付近における風化,浸食,運搬を含めた堆積作用全般と,それに引き続く続成作用により生成される鉱床。火成鉱床,変成鉱床とならんで鉱床を成因上で三大別したうちの一つである。鉱層をなして広く分布し,大規模な鉱床をつくることが多い。堆積作用と続成作用は,非常に複雑な地質現象を含んでおり,堆積鉱床の成因も多岐にわたるために,まだ十分に体系化されていない。堆積鉱床は先カンブリア時代から現世までのあらゆる時代のものが知られているが,先カンブリア時代前半の始生代では,大気中に遊離酸素がなく,地表での風化・浸食の様子も現在とは異なっていた。始生代末から世界各地の楯状地に出現する縞状鉄鉱層は,海水から沈殿したといわれ,大気の組成が還元的な状態から酸化的な状態に変化したことに対応すると考えられている。このように堆積鉱床は,その時代,その地域の地表環境を反映する。
金属鉱床としては上記の縞状鉄鉱層のほかに,レキ岩に伴う金・ウランの鉱床(たとえば南アのウィットウォーターズランド地方),粗い砂岩に伴う銅鉱床(アフリカのコッパー・ベルト),細かい砂岩に伴う亜鉛・鉛鉱床(カナダのサリバン鉱山),泥質岩に伴う銅・亜鉛・鉛鉱床(ヨーロッパ全域に広がる含銅ケツ岩),石灰質岩石に伴われる鉛・亜鉛鉱床(北アメリカのミシシッピ・バレー型鉱床)などが代表的なものである。多くの鉱床は母岩の堆積時およびそれに引き続く続成作用の時期に,ある種の鉱化流体がこれらの金属を沈殿したと考えられているが定説はない。地表付近での風化,浸食,運搬,堆積の過程である種の元素や鉱物が選別をうけ濃集すると,残留鉱床や砂鉱床が形成される。海水や湖水,河川水の蒸発により溶解成分が晶出してつくる蒸発岩(エバポライト)はカリの資源として重要である。セメントの原料として広く採掘されている石灰岩も堆積鉱床の一種と考えられ,石油,石炭のような燃料鉱床の多くは堆積鉱床に含めうる。
執筆者:島崎 英彦
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