日本大百科全書(ニッポニカ) 「エジンバラ大学」の意味・わかりやすい解説
エジンバラ大学
えじんばらだいがく
University of Edinburgh
イギリス、スコットランドの代表的な大学。「北方のアテネ」と称される、スコットランドの中心都市エジンバラにある。15世紀の創設になるセント・アンドリューズ、アバディーン、グラスゴーに続き、スコットランド4番目の大学として宗教改革後の1583年、ジェームズ6世の勅許状を得てエジンバラ市会により設立された。設立当初は「キング・ジェームズ・カレッジ」とか「タウンズ・カレッジ」という名称でよばれた。18世紀啓蒙(けいもう)時代には大陸ヨーロッパとの盛んな知的交流により「スコットランド啓蒙学派」の拠点となった。イングランドの大学とは異なって学部制を採用し、学費を低く抑えて幅広い社会階層にその門戸を開放するなど、独自の「民主的伝統」を築いた。世界で最初に女子学生の入学を認めたことでも知られる。1858年、スコットランド大学法の成立により、自治的機関としてのユニバーシティとなった。
大学の運営は23人からなる理事会と評議会(400人の教師陣で構成)を中心に行われる。学長(プリンシパルPrincipal)を議長とする評議会は主として教学事項を取り扱い、理事会は大学の財政、運営、雇用・人事などに責任を負う。総長(レクターRector)とよばれる理事会の議長は、3年ごとに教師と学生による選挙によって大学人以外から選ばれる。ちなみに過去に選出された総長のなかには、グラッドストーン、ロイド・ジョージ、スタンレー・ボールドウィン、チャーチルなどがいる。理事会のメンバーには教職員、地元産業界、地域社会の代表とともに学生の代表も加わっている。教鞭(きょうべん)をとったりここで学んだりした著名人には、デビッド・ヒューム、チャールズ・ダーウィン、ジョゼフ・リスター、ウォルター・スコット、R・L・スティーブンソン、コナン・ドイルなどがいる。
2000年現在、九つの学部(芸術学、神学、教育学、法学、医学、音楽、科学・工学、社会科学、獣医学)に約120の学科などが置かれている。教員数約2500人、学生数約2万人。学生のうち4000人強は大学院レベルで、ほぼ3000人が留学生(1000人がEU諸国、2000人が100を超す世界各国から)である。スコットランド人学生の比率は約半数。男女比もほぼ同数である。
[安原義仁]