エネルゲイア

世界大百科事典 第2版「エネルゲイア」の解説

エネルゲイア【energeia[ギリシア]】

〈現実性〉〈現実態〉〈現勢態〉〈現実活動〉などと訳される。〈デュナミスdynamis〉(〈可能態〉〈潜勢態〉。ただし一般的な意味としては〈力〉〈能力〉)と対比して,可能性が実現していることを表す用語としてアリストテレスがはじめて用いた。その語義は〈エルゴンergon〉(仕事,活動,またはその成果,作品)から派生したもので,現に活動しているという動的な現実も,完成されてあるという静的な現実も示す。〈エンテレケイアentelecheia〉(完成態,完全現実態)とも事実上同義で多く互換的に用いられる。

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世界大百科事典内のエネルゲイアの言及

【アリストテレス】より

…彼の〈形相〉はそれと異なり,つねに〈素材〉と対をなし,具体的な個物のうちに(規定の言葉(ロゴス)において以外は)素材と切り離せないものとして結びついているものである。この〈形相〉〈素材〉はまた〈現実態(エネルゲイア)〉と〈可能態(デュナミス)〉とにそれぞれ対応する。たとえば素材としての木材は家の可能態であり,大工によって形相を与えられて現実の家となる。…

【ギリシア科学】より

…さらに彼はこの形相―質料という対概念を,みずからの生物学研究から得られた〈発展〉の考えを媒介することによって,いっそう動的な現実態―可能態の対概念としてとらえかえす。〈現実態(エネルゲイア)〉とはそうした発展の究極の〈目的〉としての形相を実現した状態であり,〈可能態(デュナミス)〉とはそうした形相をいまだ実現せず,それを内に潜在的に秘めている状態である。一般に〈運動変化(キネシス)〉とはこうした可能態から現実態への移行であり,自然はそうした運動変化の原理をみずからのうちにもつものであり,一定の目的に向かってその形相を実現すべくすすむ。…

【西洋哲学】より

…この方が事態の本質をいっそう深く洞察していると言えよう。
【現実態(エネルゲイア)と可能態(デュナミス)】
 もっとも,プラトンによって導入された形而上学的思考様式は,まったく無抵抗に受けいれられたわけではない。こうした伝統に逆らって,〈自然〉を生きたものとして見ようとする思想は西洋哲学の底層部につねに伏在しており,折あるごとに顔をのぞかせる。…

※「エネルゲイア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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