エルミタージュ美術館(読み)エルミタージュビジュツカン(その他表記)Государственный Эрмитаж/Gosudarstvennïy Ermitazh

デジタル大辞泉 「エルミタージュ美術館」の意味・読み・例文・類語

エルミタージュ‐びじゅつかん〔‐ビジユツクワン〕【エルミタージュ美術館】

《〈ロシアGosudarstvennïy Ermitazhサンクトペテルブルグにあるロシア連邦国立美術館。1764年創建の離宮を改造したもの。エカチェリーナ2世コレクションを中心に、名品を多数収蔵する。
[補説]「エルミタージュ」は元来フランス語で、隠遁所の意。

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精選版 日本国語大辞典 「エルミタージュ美術館」の意味・読み・例文・類語

エルミタージュ‐びじゅつかん‥ビジュツクヮン【エルミタージュ美術館】

  1. ( ロシア語では Gosudarstvjennyj Ermitaž 「国立エルミタージュ」の意。「エルミタージュ」は離宮の名で、元来フランス語で「隠者の庵」の意 ) サンクトペテルブルクにある国立美術博物館。一七八〇年、エカテリーナ二世のコレクションをもとに設立した。一九世紀末から一般に公開。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルミタージュ美術館」の意味・わかりやすい解説

エルミタージュ美術館
えるみたーじゅびじゅつかん
Государственный Эрмитаж/Gosudarstvennïy Ermitazh

サンクト・ペテルブルグにあるロシア最大の国立美術館。現在のエルミタージュ(フランス語で隠れ家の意)は、エリザベータ女帝以来ロシア皇帝歴代の宮殿であった冬宮と、これに増築された小エルミタージュ、劇場、旧エルミタージュ(いずれも18世紀後半)、新エルミタージュ(1851)の五つの建物からなる。当代きっての収集家であったエカチェリーナ2世の時代に、すでに3926点の絵画が収集されており、これを核にコレクションが進められ、1917年のロシア革命後は、文化遺産の保護と国家への譲渡に関する法令により、収蔵品はますます増大した。現在の所蔵点数は約300万点といわれ、6部門(原始文化と美術、古代世界の文化と美術、東方諸国の文化と美術、ロシア文化、西欧美術、コイン・メダル)に分けて収蔵展示されている。まだ宮廷の管轄下にあった1852年から美術館として機能し始め、一部に公開。革命後は国有となって1920年から一般に公開されるようになった。膨大な所蔵品のうち、西欧美術のコレクションは、歴代皇帝によって集められたルネサンスから近世に至る名画に、シチューキンモロゾフらの大コレクターによるフランス印象派後期印象派の作品を加え、世界最大級の美術館としての面目を示している。なお、この美術館のあるサンクト・ペテルブルグ歴史地区は1990年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[湊 典子]

『ボリス・B・ピオトロフスキー著、加藤九祚・生田圓・青柳正規訳『エルミタージュ美術館』(1985・岩波書店)』『コリン・アイスラー著、高階秀爾監訳『エルミタージュ美術館の絵画』(1996・中央公論社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルミタージュ美術館」の意味・わかりやすい解説

エルミタージュ美術館
エルミタージュびじゅつかん
Gosudarstvennyi Ermitazh, Sankt-Peterburg

サンクトペテルブルグにあるロシア最大の国立美術館。正式には「国立エルミタージュ」という。 18世紀初頭,サンクトペテルブルグに都をつくったピョートル大帝のコレクションをもとにして,初めネバ川河畔の冬宮に置かれていたが,1764年女帝エカテリーナ2世がベルリンからゴツコフスキーのコレクションを購入したのを機に,V.ド・ラ・モートの設計によって建てられたエルミタージュ (隠棲所) と呼ばれる王宮別館に収蔵された。その後歴代皇帝や皇族により,68年コブレンツ,69年ブリュル,72年クロザ,79年ウォルポールなどの西欧美術コレクションが購入され,1851年には「新エルミタージュ館」が完成した。 1917年のロシア革命後は国の所有となり,同時にロシア帝国時代の個人コレクションもエルミタージュに集められ,印象派の絵画で有名なシチューキンとモロゾフのコレクションもここに収められた。現在全館に 200万点以上の美術品が収蔵されている。代表的な作品はギリシアの絵壺,ローマの胸像をはじめ,13~18世紀のイタリア美術ではレオナルド・ダ・ビンチの『リッタの聖母子』,ラファエロの『コネスタビレの聖母子』,ティツィアーノの『マグダラのマリア』,カラバッジオの『リュートを弾く少年』など。ドイツ派ではクラナハの『りんごの木の下の聖母子』。フランドル派ではワイデンの『聖母を描く聖ルカ』,ルーベンスの作品 41点,レンブラントの『フローラ』『ダナエ』ほか 38点。そのほかセザンヌ,ゴッホ,ゴーガン,マチス,ピカソなど近代,現代美術の秀作も多い。また特記すべきはスキタイ,アルタイの金工品などである。

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改訂新版 世界大百科事典 「エルミタージュ美術館」の意味・わかりやすい解説

エルミタージュ美術館 (エルミタージュびじゅつかん)
Gosudarstvennyi Ermitazh

ロシアのサンクト・ペテルブルグにある国立美術博物館。18世紀に建てられたバロック様式の豪華な大理石宮殿(冬宮)と,増設された三つの離宮と劇場から成るかつての王宮を,1917年の革命後国有化。400余室を展示室,他を付属研究所等に使用している。収蔵品の歴史は,1764年エカチェリナ2世がベルリンの画商ゴツコウスキーから225点の絵画を購入したのに始まる。女帝はこれらを隣接の離宮〈エルミタージュ(フランス語で隠れ家の意)〉に収容した。その後高名なクロザ,ブリュル,ウォルポールのコレクションから傑作を購入。歴代の皇帝も王室の財産として収集を重ねた。1805年帝室美術館となり,19世紀末一般に公開された。革命後整備され,収蔵品が増大している。スキタイ関係の遺品のほか,アルタイ,中央アジア,エジプト,ギリシア・ローマ,西欧の中世から近代までの絵画・彫刻,古貨幣等,文化芸術作品260万点余を収蔵している。
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百科事典マイペディア 「エルミタージュ美術館」の意味・わかりやすい解説

エルミタージュ美術館【エルミタージュびじゅつかん】

ロシアのサンクト・ペテルブルクにある国立美術博物館。1764年エカチェリナ2世が離宮エルミタージュErmitazh宮に皇室の美術収集品を置いたのに始まり,1852年特権階級の人々に向けて展示が公開され,19世紀末に一般公開された。1917年革命を機に国有となる。絵画,彫刻のみならず,貨幣,メダル,スキタイの発掘品などに及び,とくにレオナルド・ダ・ビンチ《ブノワの聖母》やレンブラント《ダナエ》などが有名。その建築は18―19世紀ロシア建築芸術の頂点をなすもので,冬宮のほか,小エルミタージュ,新・旧エルミタージュ,エルミタージュ劇場等を含む。
→関連項目サンクト・ペテルブルク

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世界大百科事典(旧版)内のエルミタージュ美術館の言及

【博物館】より

…1906年ミュンヘンにドイツ科学技術博物館が開館されたが,これは後にドイツ博物館として,多くの機械装置を実際に動かして見られる大技術博物館として完成され,現代の科学技術博物館の草分けとなった。第1次大戦後,ソ連では科学博物館などの技術教育に関係した博物館をはじめ,国有化した旧王室のコレクションを中心に展示したエルミタージュ美術館などが公開された。第2次大戦後,各国とも博物館の復旧,発展に努め,新しい形式の美術館,民俗博物館,科学博物館が創設されている。…

※「エルミタージュ美術館」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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