エル・カスティーリョ洞窟(読み)えるかすてぃーりょどうくつ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エル・カスティーリョ洞窟
えるかすてぃーりょどうくつ
cueva de El Castilloスペイン語
cave of El Castillo英語

スペイン北部、カンタブリア州中央部のプエンテビエスゴPuente Viesgoにある、旧石器時代後期の壁画芸術が残る洞窟。1903年にスペインの洞窟壁画の研究者であったアルカルデ・デル・リオHermilio Alcalde del Ro(1866―1947)によって発見された。この発見が発端となり、その後の半世紀に同じ丘陵で複数の洞窟と壁画が相次いで発見されることになった。ラ・パシエガLa Pasiega、ラス・モネダスLas Monedas、ラス・チメネーアスLas Chimeneasなどの洞窟があるこの一帯は、世界的にもきわめて珍しい旧石器時代後期の洞窟美術が集中した地域となっている。
 洞窟の入口の海抜は190メートル、内部の壁と天井からは、バイソン、人の手、シカ、ウマなどの構図を精密に描いた壁画やシカの角の彫刻などがみつかっている。これらの洞窟美術の制作された時期はもっとも古いもので、旧石器時代の終わりごろにあたる約1万3500~1万3000年前とされてきた。しかし、イギリスのブリストル大学などの研究グループが、2012年6月に発表した調査結果によると、エル・カスティーリョ洞窟のもっとも古い壁画はおよそ4万0800年前で、ヨーロッパ最古の壁画であることがわかった。研究グループはスペイン北部の11か所の洞窟にある50点の壁画に関し、壁の表面に付着した炭酸カルシウムの膜の経過時間を放射性元素を利用した年代測定法で測定したところ、エル・カスティーリョ洞窟の赤い点で描かれた壁画が4万0800年以上前、人の手の形が描かれたもので3万7300年以上前のものであることが判明したのである。測定は壁の表面の付着物を測っているため、その内部にある壁画そのものは、さらに数千年ほど古くなる可能性が高いとされている。この測定結果により、エル・カスティーリョ洞窟の壁画が現代人の祖先よりも古いネアンデルタール人によるものである可能性が指摘されている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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