イギリスの劇作家。ジャーナリスト,俳優を経て,《怒りをこめてふり返れ》(1956)によって劇壇に登場。イングリッシュ・ステージ・カンパニーによって上演されたこの劇は,既成秩序や旧来の価値観に容赦のない批判を浴びせる青年ジミー・ポーターを主人公にし,常識的には不道徳と考えられる男女関係を扱った。この劇は激しい非難と共感の両方を呼びおこし,従来の上品な客間喜劇とは異なるリアリスティックな劇の相次ぐ発表をうながす一方,反体制的な青年を指す〈アングリー・ヤング・メン〉の言葉を生んだ。その後の戯曲にはL.オリビエが主演した《寄席芸人》(1957),《ルター》(1961),《認めえぬ証言》(1964),《アムステルダムのホテル》(1968)などがあり,できばえにむらはあるが,既成の価値観に疑問を呈する姿勢は一貫している。作品の多くを演出したT.リチャードソンとともに,1958年映画プロダクションを設立,自作の映画化のほかに《トム・ジョーンズ》(1963)のシナリオを執筆した。
執筆者:喜志 哲雄
アメリカの古生物学者。コネティカット州フェアフィールドの生れ。プリンストン大学を出て,ヨーロッパに学び,T.H.ハクスリーに師事し,C.ダーウィンにも会って影響をうけた。プリンストン大学,ついでコロンビア大学の教授となり,1908年以降アメリカ自然史博物館長を兼任した。北アメリカ西部のほか,アフリカ,中国,モンゴルなどの探検を組織し,多くの脊椎動物化石を発掘し,収集した。彼はおもに哺乳類と爬虫類の化石を研究し,進化についても深い関心をもち,適応放散など重要な概念を提出している。とくに《長鼻類Proboscidea》(1936-42)では,多数の象化石を記載・分類し,その進化をまとめた。
執筆者:清水 大吉郎
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…同一の起源をもつ生物の分類群が地球上の種々の異なった環境に適応する過程で,食性や生活様式に応じて著しい形態的分化を起こす現象をいう。1917年にH.F.オズボーンがティタノテリウムTitanotheriumの研究を通して認めたのに始まるが,地質時代を通じて種々のレベルの分類群にしばしば見られる現象で,進化学上の有効な概念となっている。オーストラリア大陸では未熟の状態で生まれる子を育児囊で保育する有袋類が適応放散し,フクロネズミ,フクロモグラ,フクロモモンガ,フクロアリクイ,コアラ,カンガルー,フクロオオカミなどが,あたかも旧大陸で有胎盤哺乳類が得たと同様のさまざまの生態的地位を獲得した。…
…イギリスの劇作家ジョン・オズボーンの戯曲《怒りをこめてふり返れ》(1956)から生まれた言葉で,既成秩序に不満をもち,旧来の価値観を受け入れようとしない反体制的な青年を指す。〈怒れる若者たち〉と訳される。…
※「オズボーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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