改訂新版 世界大百科事典 「オランダ商館日記」の意味・わかりやすい解説
オランダ商館日記 (オランダしょうかんにっき)
歴代オランダ商館長の記した公務日記で,平戸商館長ニコラス・クーケバッケルNicolaes Couckebackerの1633年(寛永10)9月6日以後,長崎商館長ドンケル・クルティウスJan Hendrik Donker Curtiusの1860年(万延1)2月28日付に至る。鎖国の事情,長崎奉行所との交渉,江戸参府などの記録も含まれる。これらはもと長崎オランダ商館に保管されていたが,1852年,60年,1909年の3回に分けて日本から送り出され,ハーグのオランダ国立中央文書館の〈日本関係文書〉の部に収められた。現在ではすべてマイクロフィルムとして東京大学史料編纂所に所蔵され,その一部は翻訳されている(永積洋子訳《平戸オランダ商館の日記》,村上直次郎訳《長崎オランダ商館の日記》)。これらの日記のうち,最も内容が豊富なのは,1633-41年の平戸時代であるが,商館が出島に移転すると,外界との接触はほとんど絶たれ,日常生活も単調となるとともに,日記も内容の乏しいものとなってしまった。
執筆者:永積 洋子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報