① ミカン科の常緑小低木。中国原産で、古く渡来し果樹として暖地で栽植されるほか、観賞用として庭木にしたり盆栽にする。幹は高さ三メートルほどで、枝は細くて密生し刺(とげ)はなく、小さな長楕円形の葉を互生する。夏、葉腋(ようえき)に芳香のある白色の五弁花を数個つける。果実はふつう直径約二センチメートルの楕円形で橙黄(とうおう)色に熟す。果肉は酸味が強いが果皮は甘く、室数が少ない。生食したり砂糖づけや缶詰(かんづめ)にしたりする。似た種類がいくつかあり、最も古く伝わったのがマルミキンカンで、ナガミキンカンは江戸に入ってからという。漢名、金橘。ながきんかん。ひめたちばな。《 季語・秋 》