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オーランチオキトリウム おーらんちおきとりうむ

知恵蔵の解説

オーランチオキトリウム

ラビリンチュラ類という従属栄養生物の一種。有機物を餌として取り込み、分解吸収して栄養とする。ラビリンチュラ類アメーバ原生生物の一種で、以前は菌類として扱われていたが、現在は、コンブワカメなどの褐藻類と同様にストラメノパイルという藻類の一大分類群に分類されている。
微細藻類の中には、光合成副産物として脂質を生産するものがあり、石油代替エネルギー源として1980年代から研究が始められた。多くの藻類が生産する脂質はトリグリセリドで、これはそのままでは石油の代替とならない。その中で、ボトリオコッカスという緑藻は、重油と同じ性質を持つ炭化水素を生産するため、軽油、灯油、ガソリンに容易に変換して燃料や石油化学製品の原料として使うことができるとして、筑波大学の渡邉信教授らが研究を進めてきた。しかし、2009年に沖縄の海で、さらに高い効率で増殖し、石油に代わる炭化水素を効率良く生産する藻類が同教授らによって発見された。これがオーランチオキトリウムである。
藻類による脂質生産は、トウモロコシや大豆などを使ったバイオエタノール生産に比べ、生産性が圧倒的に高い。1ヘクタール当たり年間の生産量では、トウモロコシは0.2トン、ボトリオコッカスは100トン、オーランチオキトリウムでは1000トンから最大1万トンと試算されている。
今日の日本の輸入原油量をオーランチオキトリウムで賄うとすると、最小でわずか約2万ヘクタールしか必要でなく、国内の耕作放棄地(2010年で39.6万ヘクタール)の数%の利用で済む。1リットル当たりのコストは、重油と同程度かそれ以下の採算性が見込まれる。
オーランチオキトリウムは、栄養源として有機廃棄物や有機排水を利用して浄化しながらオイルを生産するプラントとなる可能性があり、また光を必要としないので一般的な微生物発酵用のタンクなど既存のインフラを利用できるメリットがある。ただし、オイルは細胞内に蓄積するため、効率良い抽出法と搾り滓(かす)の処理法の開発が必要となる。
一方、ボトリオコッカスは細胞外にオイルを排出するので、非破壊的にオイルを生成でき、また光合成により二酸化炭素を吸収するメリットがある。休耕田や、東日本大震災で津波の被害を受けた田畑の利用なども期待されている。
それぞれの特性を生かして活用するための研究が、産学協同の藻類産業創生コンソーシアムによって進められている。実用化には、6~10年が必要とされる。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2011年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

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