カサバッハ・メリット症候群(読み)カサバッハ・メリットしょうこうぐん(英語表記)Kasabach-Merritt syndrome

六訂版 家庭医学大全科 の解説

カサバッハ・メリット症候群
カサバッハ・メリットしょうこうぐん
Kasabach-Merritt syndrome
(皮膚の病気)

どんな病気か

 皮膚の広範な血管腫(けっかんしゅ)血小板の減少、紫斑(しはん)などの出血症状を伴う状態です。

原因は何か

 この病気を引き起こす血管腫を構成する腫瘍細胞は未熟で、不完全な管腔を形成しながら増殖します。しかも、血液の流れがいちご状血管腫よりも速いため、腫瘍内出血を繰り返し、出血を止めようとして血小板やフィブリノゲンなどの止血のための細胞や血漿(けっしょう)蛋白が消費されて減ります。これにより、血管腫の部位だけでなく、さらに全身的に出血しやすい状態へと進みます。

症状の現れ方

 乳児期に、暗紫紅色(あんしこうしょく)から赤褐色の皮下に硬く触れる皮疹(ひしん)が生じ、急激に増大します(図82)。

 周囲には紫斑がみられ、局所は熱感や圧痛を伴うことが多く、血液中の血小板数は著しく減ります。

検査と診断

 血液検査で、血小板数や血液凝固(血液を固まらせるはたらき)・線溶系(血栓を溶かすはたらき)の因子を測定します。また、MRIなどの画像検査で血管腫深部への広がりを確認します。

治療の方法

 不足している血液成分の補充抗血小板薬副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬、インターフェロンα(アルファ)などによる薬物療法と、放射線療法塞栓術(そくせんじゅつ)手術などを組み合わせて治療します。

病気に気づいたらどうする

 早急に皮膚科専門医、あるいは小児科医診察を受けて、治療可能な施設を紹介してもらう必要があります。

関連項目

 血管腫

田村 敦志


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android