カザコフ(その他表記)Kazakov, Yurii Pavlovich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カザコフ」の意味・わかりやすい解説

カザコフ
Kazakov, Yurii Pavlovich

[生]1927.8.8. モスクワ
[没]1982.12.
ソ連作家。 1958年ゴーリキー文学大学卒業の年に処女短編集『マーニカ』 Man'kaを出して以後,『小さな駅で』 Na polustanke (1959) ,『青と緑』 Goluboe i zelënoe (63) など珠玉の短編集を次々と発表。 V.アクショーノフらと並ぶ「第4の世代」の若手小説家として,また I.ツルゲーネフ,A.チェーホフ,K.パウストフスキーらの影響を強く感じさせる抒情的な美しい筆致により,多くの読者をもつ。人間関係の心理確執がその中心テーマで,代表作は『猟犬アルクトゥル』 Arktur-gonchii pëc (57) ,『アダムイブ』 Adam i Eva (62) ,『カレワラ』 Kalevala (62) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カザコフ」の意味・わかりやすい解説

カザコフ
かざこふ
Юрий Павлович Казаков/Yuriy Pavlovich Kazakov
(1927―1982)

ロシアの作家。モスクワに生まれ、ゴーリキー記念文芸大学に学ぶ。処女作は一幕物の『新しい寒村』(1952)。革命後の自然派ともいうべきプリシビン、パウストフスキーらに傾倒、雑誌『モスクワ』に『猟犬アルクトゥル』(1957)を発表。孤独な老医と盲目の犬との交流を描いたもので、一種寓話(ぐうわ)的な好短編である。このほか『青と緑』(1956)、『崖(がけ)の下の家』(1957)、『島にて』(1963)などでも人間心理の微妙な側面を描き出している。このほか旅行記『ムルマンスク暗礁にて』および『カレワラ』(1962)などにも作者一流の人間の実存についての訴えが聞かれる。70年代以降はほとんど作品を発表しなかった。

木村 浩]

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百科事典マイペディア 「カザコフ」の意味・わかりやすい解説

カザコフ

ロシア(ソ連)の作家。スターリン批判前後から注目されるようになった。ツルゲーネフチェーホフを思わせる短編の中に,人間の心理の断絶を掘り下げようとする。作品に《青と緑》(1956年),《猟犬アルクトゥル》(1957年),《アダムとイブ》(1962年)などがある。

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