カルセオラリア(その他表記)slipperwort
Calceolaria ×herbeohybrida Voss

デジタル大辞泉 「カルセオラリア」の意味・読み・例文・類語

カルセオラリア(〈ラテン〉Calceolaria)

キンチャクソウ科カルセオラリア属の一年草総称南アメリカニュージーランドに200種以上自生する。高さ30~40センチ、卵形の葉が対生し、唇形の花を多数つける。

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精選版 日本国語大辞典 「カルセオラリア」の意味・読み・例文・類語

カルセオラリア

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] calceolaria ) ゴマノハグサ科の植物の属名。チリ、ペルーメキシコ、ニュージーランドなどに約二百種が野生する一年草または多年草で、数種の交配によるものが観賞用に栽培される。茎は高さ三〇~六〇センチメートル。葉は卵形で対生。花冠は上唇が小さく直立し、下唇は大きくスリッパ状に肥大し、巾着に似た花を多数つける。花色は赤、橙、黄などで、斑(ふ)の入るものも多い。スリッパフラワー。きんちゃくそう。

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改訂新版 世界大百科事典 「カルセオラリア」の意味・わかりやすい解説

カルセオラリア
slipperwort
Calceolaria ×herbeohybrida Voss

春の鉢植え草花としてきんちゃくの形をした花が奇妙でもあり,美しくもあるので親しまれているゴマノハグサ科の一年草。キンチャクソウ属Calceolariaは中央アメリカ,南アメリカのアンデス山系に300種も分布しているが,そのうちのキンチャクソウC.corymbosa Ruiz et Pav.とC.crenatiflora Cav.との交配雑種に,他の数種が交雑されて,現在のカルセオラリアが育成されたと考えられている。交配はすでに19世紀前半にイギリスで始まり,20世紀になって大輪系の園芸品種グランディフロラGrandifloraが作出された。その後ドイツで小輪多花系ムルチフロラMultifloraも作出され,現在みられる多様なカルセオラリアが育成された。

 草丈は20~30cm,葉は広卵円形で大きく対生し,しわと毛が多い。花は黄色または紅色で上唇弁貝殻状で小さく,下唇弁は袋状で,無地単色のものもあるが,大小無数の斑点があるものが多い。萼片は4枚,おしべは2本,めしべは1本あり,果実は熟すと先端が裂けて微細な種子がこぼれ出る。種まきは9月上旬,ピートモスと川砂を半々に混ぜた用土で平鉢にまき,鉢底から吸水させて覆土をしない。苗は1~2回植えひろげて小苗を小鉢にとり,逐次鉢替えを行う。冬は凍らない程度に保温してやれば越冬できるが,3~4月に開花させるには加温して10~15℃を保つ。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルセオラリア」の意味・わかりやすい解説

カルセオラリア
かるせおらりあ
[学] Calceolaria

ゴマノハグサ科(APG分類:キンチャクソウ科)の一年草または多年草。和名キンチャクソウ。この属の植物は南アメリカおよびニュージーランドに約200種以上自生するが、現在栽培されるのはC. crenatifloraC. corymbosaなど数種の原種から交雑育成されたもので、半耐寒性一年草として扱う。このほかに、ヨーロッパの花壇などで利用される多年生のC. integrifoliaなどがある。開花期に花茎を多数分枝し、高さ30~40センチメートルになる。葉は対生し卵形。花は上唇が小さく、下唇が大きくスリッパ状になる。花色は赤、橙(だいだい)、黄の単色か、不規則な斑点(はんてん)が入るものがある。開花期は温室やハウス栽培で3、4月である。系統別に大輪のヒブリダ・グランディフローラ系、中輪多花性のヒブリダ・マルチフローラ系、小輪多花性のルゴサ・ヒブリダ系に大別され、一般にはマルチフローラ系品種が多く栽培される。8月ごろ播種(はしゅ)し、温室やハウスで栽培し、早春の鉢植え、4月ごろの花壇植えなどにする。

[鶴島久男 2021年7月16日]

 APG分類では、Calceolariaほか2属がゴマノハグサ科から独立してキンチャクソウ科となった。

[編集部 2021年7月16日]


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百科事典マイペディア 「カルセオラリア」の意味・わかりやすい解説

カルセオラリア

キンチャクソウとも。南米のアンデス山系を分布の中心とし,多くの種類があるゴマノハグサ科の一属だが,普通はその数種から英国・ドイツで交雑作出した園芸種で秋まき一年草として扱われているものをさす。高さ30cmくらいになり,5〜6月に唇弁が袋状にふくらんだ花を多数つけ,鉢物として温室で栽培される。大〜小輪あり,花色は赤,黄,紫,白,斑(ふ)のあるもの等変化が多い。また,低木状の種から作出された高性の園芸品種もあり,切花用に栽培されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルセオラリア」の意味・わかりやすい解説

カルセオラリア
Calceolaria crenatiflora; calceolaria

ゴマノハグサ科の一年草。南アメリカ原産で,鉢植として観賞する。花は黄色の唇形花で,下唇が大きく巾着状の袋になるのが特徴。キンチャクソウ (巾着草) の和名もある。赤花のものや,唇弁に斑点のあるものなど園芸品種が多い。

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