カンウォン(江原)道(読み)カンウォン(英語表記)Kangwǒn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンウォン(江原)道」の意味・わかりやすい解説

カンウォン(江原)〔道〕
カンウォン
Kangwǒn

韓国の北東部にある1級行政区。道庁所在地はチュンチョン (春川) 市。行政区域は7市 15郡。李氏朝鮮時代以来のカンウォン道は北朝鮮と休戦ラインで二分され,約3分の2が韓国領となっている。大部分がテベク (太白) 山脈に属するが,主脈は東の日本海側に急斜面をなし,西に向かっては高原や盆地を交えながらゆるやかに低下する。チュンチョン市,ウォンジュ (原州) 市は西部の盆地に発達。主産業は農業で,ジャガイモ,トウモロコシ,クリ,ホップ,アマ,薬草などが栽培され,高冷地農法も取り入れられている。養蚕と牧牛も盛んである。地下資源に富み,無煙炭は韓国総埋蔵量の約 90%を占める。ほかに,鉄,タングステン黒鉛,石灰石などを産出。ヤンヤン (襄陽) 郡の鉄鉱山,サムチョク (三陟) 郡のチャンソン (長省) 炭鉱,ヨンウォル (寧越) 郡サンドン (上東) 邑のタングステン,カンヌン (江陵) 市付近の黒鉛などは特に重要である。サムチョク市からトンヘ (東海) 市にかけて工業地域が形成され,セメント,スレート,水産品加工などの工業が行なわれる。北部はナムハン (南漢) 江の上流域にあたり,水力発電が盛んで,チュンチョン市には化学工場などが立地する。東海岸に連なる狭い平野部はヨンドン (嶺東) 地方と呼ばれ,カンヌン市,ソクチョ (束草) 市,ムクホ (墨湖) などの港町があって,鉱石の積み出しや漁業が盛ん。海岸保養地,観光地としても発展している。山中にはソラク (雪岳) 山,オデ (五台) 山などの名山がある。面積1万 6892km2人口 159万 2512 (1990推計) 。

カンウォン(江原)〔道〕
カンウォン
Kangwǒn

北朝鮮の南東部にある1級行政区。道庁所在地はウォンサン (元山) 市。行政区域は1市 16郡。李氏朝鮮以来の道が朝鮮戦争の休戦ラインで2分され,約3分の1が北朝鮮に属している。ウォンサン市を含む北部は 1949年ハムギョンナム (咸鏡南) 道から編入された。中部から南部はテベク (太白) 山脈,西部はマシンリョン (馬息嶺) 山脈で,北東部のクミャ湾 (旧称永興湾) やナムテ (南大) 川下流の周辺にやや広い平野がある。平野部では稲作,山間では畑作がおもに行われる。沿岸漁業が盛んで,ウォンサン港は国の重要な商港であるとともに,漁港でもある。工業はウォンサン市と北郊のムンチョン (文川) に化学,機械,造船などの大規模工場があるほか,チョンネ (川内) などでセメント工業が盛ん。テベク山脈にはクムガン (金剛) 山の景勝地があり,コソン (高城) が登山口。クミャ湾岸にはソンドウォン (松濤園) などの海水浴場がある。面積1万 600km2。人口 122万 7000 (1987推計) 。

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