カールーン川(その他表記)Rūd-e Kārūn

改訂新版 世界大百科事典 「カールーン川」の意味・わかりやすい解説

カールーン[川]
Rūd-e Kārūn

イラン南西部を流れる川。ザーグロス山脈中央部のザルデ・クーフ山に源を発し,フージスターン平原を蛇行して流れながらホラムシャフルでシャット・アルアラブ川に合流しペルシア湾に注ぐ。全長850km。イランで唯一の航行可能な河川で,アフワーズより上流のバンデ・キールまで遡航することができる。1888年,イギリスのリンチ商会が航行権を獲得してから汽船がペルシア湾から直接に運航されるようになり,20世紀に入ってマスジェデ・スレイマーン等で油田掘削がはじまるとこの川の輸送ルートとしての重要性が高まり,ホラムシャフルの港が建設された。古代からアッバース朝中期まで,この川のあちこちにつくられた灌漑用ダムによって流域には豊かな耕地が広がり,高度の文明が栄えた。アケメネス朝の冬の宮殿があった廃都スーサ,ササン朝の古都シュスタルがこの川の上流地域に残っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カールーン川」の意味・わかりやすい解説

カールーン川
カールーンがわ
Kārūn

イラン南西部の川。エスファハンの西,バフティアリ山地に源を発し,蛇行しながら南流してクーニンシャハルでシャットルアラブ川に合流する。全長 829kmであるが,源から合流点までの直線距離は 290kmにすぎない。水路は,水源から山地を脱するガトバンドまでと,ガトバンドからデズ川の合流するバンドキールまでと,そこからアフワーズを経てシャットルアラブ川との合流点までの3部分に大別される。バンドキールから下流一部を除いて航行可能である。アフワーズまでは 1888年に国際航行路が開かれ,カールーン川下流の運行石油採掘・精製工業と密接な関係にある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カールーン川」の意味・わかりやすい解説

カールーン川
かーるーんがわ
Rūd-e Kārūn

イラン南西部を流れる同国最大の川。延長約800キロメートル。ザーグロス山脈のザルデ山に源を発し、フーゼスターン平野に灌漑(かんがい)用水を供給し、シャッタル・アラブ川に合流する。イラン唯一の航行可能河川で、上流部でザーヤンデ・ルード川とトンネルで結ばれ、同川に水の一部が流されている。

[岡﨑正孝]

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