キャッシュレス決済(読み)きゃっしゅれすけっさい

知恵蔵の解説

キャッシュレス決済

キャッシュレス決済とは、財やサービスの対価の支払い手段として、物理的なキャッシュ(現金)である紙幣や硬貨ではなく、クレジットカードや電子マネーなどによる電子的な決済手段を用いることをいう。このキャッシュレス決済が商品の決済手段として大きな部分を占めるようになった社会をキャッシュレス社会という。政府は、オリンピックや万博などの国際イベントを見据えてキャッシュレス化を強力に推進している。また、2019年10月の消費税率引き上げに伴う需要平準化対策として、引き上げ後の一定期間についてキャッシュレス手段を使った買い物で、ポイントが最大で5%還元されるという施策が打ち出されたことで、国民の間でも注目が集まっている。
経済産業省は、現状「キャッシュレス」について広範に共通的に認識されている定義は存在しないとし、「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」を指すこととしたという。キャッシュレスの具体的な支払い手段としては、電子マネー(交通系・流通系)、デビットカード、モバイルウォレット(QRコード、NFC非接触ICカード等)、クレジットカードの四つを挙げている。なお、企業間の取引では決済手段として手形や小切手などが使われ、個人消費者では商品券などが利用される。これらも現金以外ではあるが、こうした紙媒体を介するものは、キャッシュレス決済に含めないのが一般的である。
日本はキャッシュレス決済手段となるカードの1人当たりの保有枚数は世界有数だが、年間決済金額に占めるキャッシュレス決済の比率は低い。15年の統計では、日本はキャッシュレス決済の比率が2割を下回る。これに対して、韓国は1997年のアジア通貨危機に際して消費拡大のために政府主導でキャッシュレス化を進めたことから、比率は9割近くで世界1位となっている。日本のキャッシュレス決済の比率は増加傾向にあるものの、比率が6割で2位の中国、比率が5割以上であるカナダ、イギリス、オーストラリアなどにも遠く及ばない。このような状況から、政府は2025年の大阪・関西万博に向けて、25年のキャッシュレス決済比率40%、将来的には世界最高水準の比率80%の達成という目標を掲げた。
日本のキャッシュレス支払いの大半はクレジットカードであるが、近年は交通系カードなどの電子マネーの普及が進み、スマートフォンの普及とFintech(フィンテック)の進展により、モバイルウォレットの利用も徐々に広がりつつある。この中で、経産省が特に力を入れるのはQRコード決済である。屋台でもQR決済ができるといわれる中国はもちろん、韓国でも利用が拡大している。スマートフォンなどでQRコード(またはバーコード)を表示したり読んだりすることで決済ができ、他の方法で用いる特別な端末や専用回線は必要ない。このため、他の方法と比べて導入の障壁が低く、早期の普及が可能であると考えられる。しかし、現在のQRコード決済は運営事業者ごとに方式が様々で、専用のアプリを起動するなど操作が煩雑である。その解決のため、これらの標準化をはかる試みが経産省の主導で進められている。

(金谷俊秀 ライター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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