土地や有価証券など保有資産の値上りによる利益をいう。キャピタル・ロスcapital lossesに対する語。この価値の増加は単なる評価額の上昇を意味することもあれば、それの売却譲渡による実現を意味することもある。キャピタル・ゲインをねらった積極的経済行動、とくにごく短期間で繰り返される売買行動が投機であって、その典型は株の売買などにみいだされる。投機は、ある資産の値上りを期待して、それを相対的に低廉な時期に購入し、相対的に高くなった時点で売却することによってキャピタル・ゲインを手にしようとする行為であるから、資産(商品)の価格の安定化に寄与するという主張も生まれる。これをフリードマン命題というが、この命題が成立するためには多くの限定条件が必要である。それは、現実に投機行為があるために、商品市場や外国為替(かわせ)市場においてしばしば価格の安定化よりもその乱高下が引き起こされているのをみれば明らかである。
[大塚勇一郎]
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…〈インカム・ゲイン〉とは,資産を保有することによって得られる収入,具体的には,有価証券(株式,債券)の配当および利子収入等をいう。これに対し,資産の値上がり(値下がり)によって得られる収入(損失)を〈キャピタル・ゲイン〉(〈キャピタル・ロスcapital loss〉)という。
[インカム・ゲイン]
インカム・ゲインの代表例としては,株式からの配当,債券からの利子や償還差益,証券投資信託からの収益分配金などがあげられる。…
…資産価値の増加から生ずる利得を,有価証券の配当および利子収入であるインカム・ゲインincome gainに対し,キャピタル・ゲインcapital gainとよび,資本利得という訳語が一般的である。日本の所得税法では譲渡所得という用語が使われている。…
…この定義では所得の源泉が少しも問われてはいないところに特色がある。賃金,俸給,配当,利子,地代などの明白な所得も含まれるが,資産価値の上昇によるキャピタル・ゲイン(インカムゲイン・キャピタルゲイン),帰属家賃(他人に貸せば得られたはずの家賃),現物所得(社宅や日曜大工の製品)のように測定にあたり種々の問題がからむものも含まれている。キャピタル・ゲインは資産価値の上昇分が所得とみなされ,資産が売却されて値上がり益が現金化(実現)されているか,売却されないで未実現であるかを問うものではない。…
…
【資産価格の決定の仕組み】
各種の資産の価格は,各種の資産の単位期間当りの期待収益率が均衡化するように決定される。単位期間当りの期待収益率とは,単位期間内に当該資産の保有から得られるインカム・ゲイン(地代収入,配当収入,利子収入等をいう)の期待値とキャピタル・ゲイン(当該資産の市場価値の上昇)またはキャピタル・ロス(当該資産の市場価値の低下)の期待値との合計額を単位期間の初めにおける当該資産の市場価値で除した値をいう。したがって,単位期間内のインカム・ゲインの期待値と単位期間の終りの当該資産の市場価値の期待値とが与えられているという条件のもとで考えると,期待収益率の決定機構を明らかにすることと資産の価格の決定機構を明らかにすることとは同値である。…
…
[土地租税]
土地利用規制と土地収用がともに土地の利用に関する政策であって,土地価格に対して中立的であるのに対し,土地租税は土地価格に対して直接的な機能を果たす。また土地租税には,土地の売買によって実現するキャピタル・ゲイン(資産の値上がり利益)の一部を公共に還元させることによって所得の再分配を進める機能もある。租税は一般的に所得税,流通税,財産税に分類されるが,日本の現行の土地租税には譲渡所得税(所得税),不動産取得税・登録免許税(流通税),固定資産税・都市計画税・特別土地保有税・相続税・譲与税および新設の地価税(1992年施行)(財産税)などがある。…
※「キャピタルゲイン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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