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キリギリス Campsocleis buergeri

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

キリギリス
Campsocleis buergeri

直翅目キリギリス科の昆虫。体長 38~48mm。体は緑または褐色。触角は糸状で長い。翅は短く,ほぼ腹端に達する程度である。前翅には緑色部があり,1~2列の黒褐色斑紋をもつ。雌の腹端にはわずかに下方に湾曲する長い剣状の産卵管がある。雑食性。夏季出現し,雄は昼間草の間で「ぎーっちょん」と鳴く。なおキリギリス科 Tettigoniidae; long-horned grasshopperは,本種のほかにクツワムシウマオイササキリなどの鳴く虫を含んでいる。形態的特徴として,触角は細い糸状で非常に長く,大顎が発達する。後肢は発達した跳躍肢となり,前肢と中肢の脛節下面には可動のとげを欠く。 跗節は4節。雄は普通前翅に発音器をもち,ほぼ例外なく前肢脛節に聴器 (鼓膜) をもつ。雌の産卵管は普通剣状で長い。世界に約 3000種が知られ,日本産は 50種以上。 (→直翅類 )  

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百科事典マイペディアの解説

キリギリス

直翅(ちょくし)目キリギリス科の昆虫の1種。体長45mm内外,茶色と緑色を混ぜるが個体変化が多い。通常は短翅型が多いが,まれに長翅型が現れる。日本特産種であるが,北海道には翅の長いハネナガキリギリスのみで本種はいない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

キリギリス
きりぎりす / 螽
long-horned grass-hopperskatydids

昆虫綱直翅(ちょくし)目キリギリス科Tettigoniidaeの昆虫の総称、またはそのなかの1種。コオロギ類に近縁の昆虫群で、コオロギ類が主として地表面で生活し、背腹に扁平(へんぺい)な体形となったのに対し、キリギリス類は主として植物上で生活するように分化し、縦に平たい体形を獲得した。触角は長く、体色は、例外的に黒褐色のものもあるが、大多数は緑色か褐色をしており、また同一種内でも緑色型と褐色型の2型の出るものが多い。コオロギ類に比べて、はねや後肢がより発達している。雄は、はねに発音器を備え、左右のはねをこすり合わせて発音する。秋の鳴く虫として知られるものも含まれている。[山崎柄根]

形態

体形、色彩は前述のとおりであるが、口はかむ型で、複眼はあまり大きくない。前翅はおおむね植物葉状で、広葉樹の葉に似せたものなどは擬態と考えられる。雄の発音器は、前翅の基部にある。また、耳(鼓膜)は前肢の脛節(けいせつ)基方にあり、これは雌雄ともにある。後肢は発達した跳躍肢で、(ふせつ)は4節。雄の尾角は多様な形に変化する。雌の産卵管は剣状や鎌(かま)状などをしており、縦に幅広い形である。体の大きさは、7ミリメートルほどの小さいものから、はねの開張が20センチメートルを超すものまで、変異に富んでいる。[山崎柄根]

生態

後述のキリギリスやササキリ類のように、主として日中活動するものもあるが、ウマオイやツユムシ類のように主として夜間活動性のものも多い。食性は植物食、動物食、雑食などさまざまである。はねはよく発達するが、ひらひらとした飛び方で敏捷(びんしょう)ではない。そのかわり、後肢による一跳びの距離は大きい。キリギリスのように縄張り(テリトリー)をつくるものもある。雄は通常よく鳴き、これによって雌を誘引する。産卵は、ツユムシ類のように葉中に産卵するものもあるが、多くのものは地中にばらばらに産み付ける。卵越冬が多いが、成虫で越冬するものもある。[山崎柄根]

分類

キリギリス類は、世界で5000種以上、日本では60種以上が知られている。現在のところキリギリス科の1科にまとめられ、そのなかに12亜科を置くのが普通であるが、これらをそのまま科に昇格させる方式もある。日本にはこのうち次の7亜科を産する。
(1)ツユムシ亜科 繊細な体つきの中形の虫体で、(ふせつ)第1節の両側に溝がなく、第3節は心臓形。産卵管は鎌状。植物上で生活する。ツユムシPhaneroptera falcata、クダマキモドキHolochlora japonicaなどが含まれる。
(2)ウマオイ亜科 前脛節に長い棘(とげ)を備え、雄の尾角は単純な形である。ウマオイHexacentrus japonicusが代表種である。
(3)ササキリ亜科 中形ないし小形で、細長の虫体。頭部は円錐(えんすい)状になるものが多く、しばしばその先端はとがっている。イネ科植物の間に多い。ササキリConocephalus melas、ホシササキリC. maculatus、クビキリギスEuconocephalus thunbergiなどが含まれる。
(4)キリギリス亜科 前胸の腹板に棘があり、前肢脛節の腹方にも棘がある。中形ないし大形のものを含む。キリギリスGampsocleis buergeri、ヤブキリTettigonia orientalis、ヒメギスMetrioptera engelhardtiなどが含まれる。
(5)クツワムシ亜科 大形種が多い。前肢脛節の鼓膜は露出している。クツワムシMecopoda nipponensisが代表種である。
(6)ヒメツユムシ亜科 小形種のみで、はねはしばしば退化する。雄の尾角は複雑に変化する。ヒメヤブキリモドキTettigoniopsis forcipicercusなどが含まれる。
(7)ヒラタツユムシ亜科 中形ないし大形種を含む。木の葉によく似た前翅をもつものがあり、熱帯、亜熱帯に分布する。クサキリモドキPhyllomimus sinicusなどが含まれる。
 キリギリス亜科のキリギリスは、体長40ミリメートル内外のやや大きい昆虫で、本州から九州に普通に分布し、草原に多い。鳴く虫としてなじみ深い種である。体色は緑色、褐色型があるが、共通して前翅には輝くような緑色部があり、また1~2列の黒点列がある。後肢は長くて大きい。雄の尾角は棍棒(こんぼう)状で、内側に大きい1歯を備える。雌の産卵管は腹部とほぼ等長で、やや下方に湾曲する細い剣状。雄は日中、草むらでチョンギース、チョンギース、とやや間隔を置いて発音する。成虫は夏季に出現し、多くは夏の終わりまでに交尾、産卵をして一生を終わるが、秋まで成虫がみられることもある。卵越冬で、翌春5月ごろ孵化(ふか)する。肉食が強く、したがって飼育するときは、共食いを避けるために狭い籠(かご)の中では、1頭ずつ隔離して飼わなければならない。季節になると虫屋で売られ、家々の軒下につるされた虫籠からチョンギースと聞こえる風情は、夏の風物詩である。なお、北海道にはこの種はみられず、かわりに、はねの長いハネナガキリギリスG. ussuriensisがみられ、沖縄諸島には類似種オキナワキリギリスG. ryukyuensisがいる。これらは、いずれも鳴き声はよく似ている。[山崎柄根]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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