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キリストの画像 キリストのがぞうImage of Christ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

キリストの画像
キリストのがぞう
Image of Christ

初代キリスト教会では,ユダヤ教の伝統に根ざす強い偶像忌避の傾向 (→イコノクラスム ) と,ギリシア・ローマ哲学における超越者の不可視性を強調する態度が相まって,イエス・キリストを具象的画像に表わすことは避けられていた。それに代り,簡単な象徴像 (魚など) ,非キリスト教,ユダヤ教から借りた比喩的図像 (羊飼い,ヨナなど) が用いられた。しかし,3世紀なかば頃から画像化の傾向が強まり,ローマでは無髭の美しい青年として,まれには有髭の哲学者,あるいは太陽神の姿でカタコンベの芸術に表わされるようになった。コンスタンチヌス大帝によるキリスト教寛容令は教会芸術の発展を促し,360年頃からは,ローマ帝国の伝統的皇帝儀礼の影響のもとで,青年として,あるいはゼウスのような堂々とした有髭の壮年の男子として表わされた。他方,シリア・パレスチナ起源といわれる粗野な,行者の風体の像もみられるようになった。聖画像論争以前のビザンチン美術においては,長髪長髭,あるいは短髭の壮年型に加え,無髭の青年型,幼児型のインマヌエル,白髪白髭の老人など各種のタイプが,それぞれ異なった神学的意味を伴って使い分けられ,小羊のような象徴像も依然として用いられた。6世紀以降急速に高まってきたイコン崇拝の情熱に伴い,「人の手によって作られたのではない (アケロピトス) 」イエスの画像の伝承が盛んに語られるようになる。伝承はのちにヨーロッパに伝わり,聖女ベロニカの聖骸布の物語となる。聖画像論争以後は動物象徴は押えられ,新たにパントクラトールの半身像がドームやアプスに登場する。西方では神の小羊をはじめとする象徴像が終始用いられた。初期アイルランド,イギリス美術は,シリア,コプト起源の長髪長髭型が用いられたが,カロリング朝,オットー朝時代には,初期キリスト教の若々しい青年像が復活した。ロマネスク美術では,概してイエスの超自然的性格を強調した威厳あるものが多いが,ゴシック時代には急速に人間化が進み,14世紀になると,イエスを,その最も貧しく,みじめな姿において表わすようになった。いわゆる祈念像 (アンダハツビルト) はその好例である。ルネサンスの古典期はイエスを理想の男性像として,あるいは愛くるしい幼児として描くことに熱中したが,対抗宗教改革の精神に導かれたバロックのカトリック美術は,一大宗教劇の主人公としてイエスを描くことを使命とした。これに対し新教国オランダのレンブラントは,それを深刻な内的ドラマとしてとらえ,近世のキリスト教観に影響を与えた。 19世紀以降の芸術は,おもにイエスの柔和さ,苦難を強調する傾向が強いが,ダリのようなカトリック作家は,秘跡的性格を斬新なイメージで描いている。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

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